スマートフォンの価格が年々上がり、「2年で買い替える消耗品」という感覚が通用しなくなってきました。最近では20万円を超えるモデルも珍しくなく、できるだけ損をせずに使いたいと考える方が増えています。
一方で、中古スマートフォン市場は着実に成長しており、状態や売却方法次第では数万円単位で手取り額が変わる時代になりました。ガラスフィルムの有無やバッテリー状態、売るタイミングやチャネル選びが、そのまま「資産価値」に直結します。
この記事では、2026年の日本市場を前提に、スマホを資産として考えるための視点と、リセールバリューを最大化するための実践的な考え方を整理します。中古市場の動向、査定の仕組み、下取りと買取の違いまで理解することで、次の機種選びや買い替え判断がもっと合理的になります。
スマートフォン市場が「消費」から「資産」へ変わった理由
かつてスマートフォンは、数年使って買い替える典型的な消費財でした。しかし2020年代半ば以降、日本市場ではその位置づけが大きく変わりつつあります。スマートフォンが「使い切るモノ」から「価値を保有し、循環させる資産」へと認識され始めたのです。その背景には、複数の構造的要因が重なっています。
最も分かりやすい変化は端末価格です。円安の長期化や半導体コストの上昇、サプライチェーン再編の影響により、2025〜2026年にはフラッグシップモデルが20万円超となる状況が常態化しました。購入時の負担が大きくなったことで、消費者は「いくらで買うか」だけでなく、「将来いくらで売れるか」まで含めた意思決定を行うようになっています。
この意識変化を裏付けるのが中古市場の拡大です。MM総研によれば、2025年度の国内中古スマートフォン販売台数は353万台と前年度比9.8%増を記録しました。これは単なる節約志向ではなく、端末を流動性のある資産として市場に戻す行動が一般化しつつあることを示しています。
| 指標 | 数値・動向 | 示唆 |
|---|---|---|
| 新品ハイエンド価格 | 20万円超が常態化 | 購入時点で回収意識が生まれる |
| 中古スマホ販売台数 | 353万台(2025年度) | 再流通を前提とした消費行動 |
| 中古市場シェア | iPhone約7割 | 資産価値の偏在化 |
さらに重要なのが、価値評価の「見える化」です。買取専門店やキャリア下取りでは、ランク制度やバッテリー最大容量など、明確な基準で価格が決まります。特にAppleが示すバッテリー80%基準は、中古市場でも事実上の閾値として機能しており、数値で管理できる点が資産的な感覚を強めています。曖昧だった「使用感」が、定量的な価値へ変換されたと言えます。
加えて、法人需要やインバウンド需要の存在も見逃せません。企業のDX推進による業務用端末の大量調達、円安を背景とした訪日客による中古iPhone購入は、国内相場を下支えしています。市場の流動性が高まることで価格が安定し、保有リスクが下がったことも資産化を後押ししています。
こうした環境下では、スマートフォンは単なるガジェットではありません。購入、使用、売却までを一連のプロセスとして設計することで、実質負担を抑えられる金融的性格を帯びています。価格上昇、中古市場の成熟、評価基準の明確化という三点が重なった結果、スマートフォン市場は「消費」から「資産」へと質的転換を遂げたのです。
2026年の中古スマートフォン市場規模と成長データ

2026年の日本国内中古スマートフォン市場は、数量・金額の両面で着実な拡大が続いています。MM総研の調査によれば、2025年度の中古スマートフォン販売台数は353万台に達し、前年から9.8%増という高い成長率を記録しました。このトレンドは2026年に入っても減速する兆しはなく、**中古端末がスマートフォン市場全体に占める存在感は、もはやニッチではなく構造的な一角**として認識されています。
特に注目すべきは、2026年度には全スマートフォン出荷台数に占める中古端末の比率が10%を超えると予測されている点です。これは単なる買い替え需要の補完ではなく、新品価格の上昇を背景に、中古が最初から選択肢として検討される市場へと進化していることを示しています。MM総研が指摘するように、円安や部材コスト高による新品価格の上振れが、この構造転換を強く後押ししています。
| 年度 | 中古スマホ販売台数 | 前年比成長率 | 市場上の位置づけ |
|---|---|---|---|
| 2023年度 | 約320万台 | 約8% | 節約志向の代替需要 |
| 2024年度 | 約322万台 | 微増 | 品質重視層の流入 |
| 2025年度 | 353万台 | 9.8% | 資産運用的消費へ拡大 |
成長の中身を分解すると、2026年市場の特徴は「量の拡大」と同時に「質の高度化」が進んでいる点にあります。通信キャリアや大手量販店が展開する認定中古品の普及により、初期不良やバッテリー劣化に対する不安が大きく低減しました。ITmedia Mobileが報じるように、こうした保証付き中古端末の存在が、新品からの需要シフトを加速させています。
さらに、法人需要の伸長も市場規模を押し上げる重要な要素です。DX推進を背景に、企業が業務用スマートフォンを大量導入する際、コストと供給安定性の観点から中古端末を選択するケースが増えています。**個人消費に依存しない需要源が加わったことで、市場全体の変動リスクは低下し、成長の持続性が高まっています。**
加えて、インバウンド回復による越境需要も見逃せません。円安環境下で、日本国内の中古iPhone、とりわけSIMフリーモデルは海外旅行者にとって価格競争力が高く、秋葉原や日本橋の流通量増加が買取相場を下支えしています。こうした複合要因により、2026年の中古スマートフォン市場は、安定成長と拡張性を兼ね備えた成熟フェーズへと移行しつつあります。
リセールバリューが高い機種と低い機種の決定的な差
リセールバリューが高い機種と低い機種の差は、単なるブランドイメージや人気の有無では決まりません。中古市場のデータを精査すると、その差は「需要の持続性」「価格下落の予測可能性」「再流通のしやすさ」という三つの構造的要因に集約されます。
MM総研やITmedia Mobileが報じている中古スマートフォン市場の分析によれば、流通量の約7割をiPhoneが占める状態が長年続いています。この事実は、**売りたい人と買いたい人が常に存在する状態が価格を下支えしている**ことを意味します。
一方でリセールバリューが低い機種は、発売直後は高性能・高価格であっても、需要のピークが短く、次世代モデルの登場と同時に急激な値崩れを起こしやすい傾向があります。
| 評価軸 | リセールが高い機種 | リセールが低い機種 |
|---|---|---|
| 中古需要の広さ | 国内外・法人まで幅広い | 特定層に限定されがち |
| 価格下落の傾向 | 段階的で予測しやすい | 短期間で急落しやすい |
| 流通期間 | 発売後5年以上取引継続 | 2〜3年で市場から消える例も |
特に決定的なのが、OSアップデートとアプリ対応の長さです。Appleは公式に長期アップデート方針を示しており、発売から5〜6年経過したモデルでも最新iOSに対応するケースがあります。ゲオの中古ランキングでiPhone 8やSEシリーズが今なお取引されている背景には、**「まだ使える」という明確な根拠が存在する**のです。
これに対し、多くのAndroid端末はアップデート保証期間が短く、セキュリティ更新終了=実質的な価値喪失と見なされやすくなります。専門店の査定担当者も「OSサポート終了モデルは法人需要が一気に消える」と指摘しており、これが価格下落を加速させます。
さらに見逃せないのがグローバル市場との接続性です。円安環境下では、日本で流通するSIMフリーiPhoneが海外バイヤーにとって魅力的な商品となり、国内相場を下支えします。インバウンド回復後にiPhoneの買取価格が想定以上に下がらなかったのは、この国際需要が背景にあります。
リセールが低い機種は、この国際的な再流通ルートに乗りにくく、国内需要が冷えた瞬間に価格が崩れます。結果として、購入時は同価格帯でも、数年後の残存価値には数万円単位の差が生まれます。
つまり、リセールバリューの高低を分ける決定的な差とは、「中古市場で長く、広く、安定して循環できる設計思想を持つかどうか」に尽きます。この視点で機種を見極めることが、スマートフォンを消費ではなく資産として扱うための分岐点になります。
中古スマホの査定はどう決まる?ランク制度の基本構造

中古スマホの査定額は、担当者の感覚や運任せで決まるものではありません。実際には、多くの買取業者が共通して採用しているランク制度を基準に、客観的かつ減点方式で価格が算出されています。このランク構造を理解しているかどうかが、最終的な買取価格に数千円から数万円の差を生むと言っても過言ではありません。
イオシスやゲオなど主要な買取事業者の公開情報を分析すると、査定ランクはおおむねS・A・B・C・ジャンクの5段階で構成されています。基準となるのは外装の状態、ディスプレイの傷、機能不良の有無で、上位ランクほど「次の購入者が新品に近い体験を得られるか」が重視されます。
| ランク | 状態の目安 | 価格水準 |
|---|---|---|
| S | 未使用・通電のみ確認 | 基準価格の100% |
| A | 使用感ほぼなし、傷が視認できない | 85〜90% |
| B | 軽微な擦れや小傷あり | 70〜80% |
| C | 目立つ傷や落下痕あり | 50〜60% |
ここで重要なのは、ユーザー自身の感覚とプロの査定基準が大きく異なる点です。多くの人が「かなり綺麗」と感じる端末でも、コネクタ周辺の擦れや側面フレームの塗装剥がれが確認されると、ランクBに分類されるケースが少なくありません。査定は主観ではなく、再販時のクレームリスクをどこまで抑えられるかという視点で行われています。
特にランク判定で分かれ目になりやすいのがディスプレイの状態です。MM総研の中古端末流通データや、買取業者の査定基準によれば、画面の傷はUXに直結するため評価が極端に厳しくなります。筐体の傷が許容されても、数ミリの線傷があるだけでAからCへ二段階落ちする例も珍しくありません。
また、ランク制度は単なる分類表ではなく、市場価格と連動した価格調整装置として機能しています。中古スマホ市場は流動性が高く、状態の良い端末ほど国内外で需要が集中します。ITmedia Mobileが報じているように、日本の中古iPhoneは海外バイヤーからの評価も高く、再販しやすいランクA以上の端末には安定したプレミアムが付与されやすい構造になっています。
つまり、査定ランクとは「今の見た目」ではなく、「次に買う人がいくらで満足するか」を数値化した仕組みです。この仕組みを知っておくだけで、保護フィルムの重要性や日常使用時の扱い方が、将来の現金価値に直結していることが明確に見えてきます。
画面の傷とバッテリー劣化が価格に与えるインパクト
中古スマートフォンの査定において、価格への影響が最も大きい要素が画面の傷とバッテリー劣化です。外観や動作が良好でも、この2点に問題があるだけで、買取価格が一気に数万円単位で下がるケースは珍しくありません。特にディスプレイとバッテリーは、使用体験に直結するため査定の優先度が極めて高いとされています。
まず画面の傷についてです。主要買取店の公開基準を横断的に見ると、画面無傷であることが上位ランクの前提条件になっています。筐体側面や背面の擦り傷はケースで隠せますが、画面の線傷や打痕は使用時に常に視界に入り、UXを損なうため評価が厳しくなります。MM総研やイオシスの査定基準分析によれば、わずか数ミリの線傷でもランクAからCへ一段階以上下がる可能性があるとされています。
| 画面状態 | 査定ランク例 | 価格への影響目安 |
|---|---|---|
| 無傷・保護フィルム使用 | ランクA | 基準価格の85〜90% |
| 薄い線傷あり | ランクB | 基準価格の70〜80% |
| 目立つ傷・打痕 | ランクC | 基準価格の50〜60% |
例えばiPhone 14クラスでは、ランクAとCの差が1万〜2万円以上開くこともあり、購入直後からガラスフィルムを貼る行為はコストではなく将来利益を守る投資だと言えます。Apple関連市場を長年追ってきたITmedia Mobileも、ディスプレイ無傷端末が最も安定して高値で流通していると指摘しています。
次にバッテリー劣化です。iPhoneでは設定画面で確認できる最大容量が重要指標となり、Appleが公式に交換推奨ラインとしている80%が中古市場でも事実上の分水嶺です。80%以上を維持していれば減額なし、もしくは軽微な調整で済む一方、79%以下になると減額率が急激に跳ね上がります。
ソフマップやゲオの買取ガイドによると、バッテリーが著しく劣化していると判定された端末は、正常動作品であっても20〜70%の減額、場合によってはジャンク扱いになることがあります。これは購入後すぐにバッテリー交換が必要になる可能性を、買取業者が価格に織り込むためです。
重要なのは、バッテリーは見た目では判断できない点です。外装が新品同様でも、最大容量が79%に落ちた瞬間に資産価値が大きく毀損します。そのため実務的には、81〜82%の段階で売却を検討することが、価格下落を回避する最適解だと専門家の間では共有されています。
画面の傷とバッテリー劣化は独立した要素ですが、同時に問題がある場合は減額が累積します。画面に線傷があり、かつバッテリーが80%未満の場合、想定価格の半額以下になるケースも確認されています。中古市場が成熟した2026年現在、これら2点は感覚的評価ではなく、明確な数値とルールで価格に反映される要素として理解しておく必要があります。
スマートフォンを資産として扱うなら、画面は無傷、バッテリーは80%以上。このシンプルな条件を守れるかどうかが、数年後の売却価格を大きく左右します。
水没判定や内部ダメージが致命傷になる理由
スマートフォンの査定において、水没判定や内部ダメージが致命傷とされる理由は、外観や一時的な動作状況では測れない長期的な故障リスクが内在しているためです。表面上は問題なく使えていても、内部では確実に劣化が進行している可能性が高く、中古市場ではその不確実性自体が価値を大きく毀損します。
とくにiPhoneなど主要機種には、水没の有無を確認するための液体侵入インジケータが搭載されています。Appleの公式修理基準でも、液体侵入が確認された端末は保証対象外と明記されており、この基準は買取業者の査定ロジックにも踏襲されています。インジケータが変色しているだけで、正常動作品であっても水没端末として扱われるのが現実です。
水分が内部に侵入すると、すぐに故障しないケースも多いですが、問題は時間差で進行する腐食です。基板上の微細な配線やコネクタは、わずかな湿気でも電解腐食が起こりやすく、数か月後に突然電源が入らなくなる、Face IDやカメラだけが使えなくなるといった症状が発生します。中古市場では、こうした将来不良のリスクを織り込むため、評価が一気にジャンク水準まで落とされます。
| 状態区分 | 外観・動作 | 市場評価 | 買取価格傾向 |
|---|---|---|---|
| 正常品 | 問題なし | リスク低 | 相場通り |
| 水没反応あり | 一見正常 | 内部腐食リスク高 | 大幅減額または不可 |
| 内部損傷顕在化 | 機能不良あり | 修理前提 | ジャンク扱い |
MM総研などが示す中古スマホ市場の成長データを見ると、流通量が増えるほど、業者側はリスク管理を厳格化しています。その結果、内部ダメージの可能性がある端末は、再販後のクレームや保証コストを避けるため、価格ではなく取引対象から外す判断がなされることも珍しくありません。
また、防水性能への過信も大きな落とし穴です。メーカーがうたう防水は新品時かつ試験環境下での性能であり、経年劣化や落下によるシール材の損耗で性能は低下します。湿気の多い浴室での使用や、雨天での通話を繰り返しただけでも、水没反応が出る事例は修理業界でも多数報告されています。
水没判定は修理で回復できない「信用の失墜」と言えます。画面割れやバッテリー劣化は交換で価値を取り戻せる余地がありますが、水没履歴は内部状態を完全に証明できないため、資産価値としては致命的です。リセールを前提にスマートフォンを使うのであれば、水分と湿気を避ける行動そのものが、最も費用対効果の高い保全策になります。
買取専門店・キャリア下取り・フリマの違いと向き不向き
スマホを手放す際の主な選択肢は、買取専門店、通信キャリアの下取り、フリマアプリの3つです。それぞれは価格の決まり方、リスク、手間がまったく異なり、端末の状態やユーザーの目的によって向き不向きがはっきり分かれます。
近年は端末価格の高騰を背景に、中古スマホ市場そのものが拡大しています。MM総研によれば、日本国内の中古スマホ販売台数は2025年度に353万台と過去最高を更新しており、「どこで売るか」が資産価値を左右する重要な意思決定になっています。
| 売却方法 | 価格水準 | 手間・リスク | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 買取専門店 | 相場連動で高め | 低い・即現金化 | 美品を確実に高く売りたい |
| キャリア下取り | 安定・定額 | 非常に低い | 傷あり端末を安全に処分 |
| フリマアプリ | 理論上は最高値 | 高い・自己責任 | 手間を惜しまず利益重視 |
買取専門店は、端末状態が良いほど真価を発揮します。イオシスやゲオなどの専門店は市場相場に連動した価格設定を行っており、特にiPhoneのランクA以上ではキャリア下取りを大きく上回るケースが珍しくありません。Blanccoなどの国際的に評価されたデータ消去プロセスを採用している点も、セキュリティ意識の高いユーザーには安心材料です。
一方で、査定基準はシビアです。ディスプレイの微細な傷やバッテリー劣化によって1ランク下がるだけで、数千円から1万円以上の差が生じることもあります。専門店は「状態に自信がある人向け」の出口戦略と言えます。
キャリア下取りは、価格よりも安定性を重視する選択肢です。ドコモ、au、ソフトバンクの下取りは、細かな外装差を問わず大まかな区分で定額評価される傾向があります。KDDIやNTTドコモの公式資料でも示されている通り、画面割れがあっても一定額が保証される点は大きな強みです。
さらに、下取り増額キャンペーンの存在は無視できません。ITmediaやケータイWatchが報じているように、特定期間中は市場価格を超える評価が付くこともあり、傷あり端末では最も合理的な選択になる場合があります。ただし還元はポイント形式が中心で、現金化を前提とする人には不向きです。
フリマアプリは、ハイリスク・ハイリターンの世界です。メルカリなどでは中間業者が介在しないため、表面上の売却価格は最も高くなります。しかし販売手数料10%と送料を差し引くと、実質手取りは専門店と同水準になるケースも少なくありません。
加えて、購入者対応、返品リスク、データ消去の完全な自己責任といった見えないコストが発生します。消費者庁や総務省の注意喚起でも、個人間取引におけるトラブルは年々増加傾向にあるとされています。時間と労力を投下できる人でなければ、割に合わない可能性があります。
結局のところ、美品なら買取専門店、傷ありならキャリア下取り、最大利益を狙うならフリマという棲み分けが、2026年時点では最も現実的です。端末のコンディションと自分が許容できるリスクを冷静に見極めることが、リセールバリュー最大化への近道になります。
チャネル別に見る実質手取り額の考え方
スマートフォンを売却する際に多くの人が見落としがちなのが、表示されている価格と実際に手元に残る金額の差です。チャネルごとにコスト構造や還元方法が異なるため、実質手取り額という視点で整理しないと最適解を誤ります。
特に2026年の国内市場では、中古スマホ流通量の増加とともに売却チャネルが多様化し、価格比較が一層複雑になっています。MM総研やITmedia Mobileが指摘するように、中古市場は成熟期に入り、単純な高値提示だけでは判断できない段階にあります。
まず押さえるべきは、実質手取り額を構成する要素です。これは売却価格から手数料、送料、ポイント還元の実効価値、時間的コストやリスクを差し引いた結果として評価されます。名目価格が高くても、必ずしも得とは限りません。
| 売却チャネル | 主な控除・条件 | 実質手取りの考え方 |
|---|---|---|
| フリマアプリ | 販売手数料約10%、送料、対応工数 | 売価−手数料−送料−リスクコスト |
| 買取専門店 | 減額査定の厳格さ | 提示額=ほぼ手取り額 |
| キャリア下取り | ポイント還元、用途制限 | ポイントの実質価値で評価 |
例えばフリマアプリでは、iPhone 14が5万8千円で売れたとしても、手数料と送料を差し引けば手取りは約5万1千円程度になります。さらに購入者対応や返品リスクを考慮すると、金額以上の負担が発生する可能性があります。これはITmedia Mobileでも、個人間取引の隠れたコストとして度々指摘されています。
一方、イオシスやゲオなどの買取専門店は、提示価格がそのまま現金として受け取れる点が特徴です。ランク判定は厳しいものの、不確実性が少なく即時に実質手取りが確定するという意味で、時間価値を重視する人には合理的です。
キャリア下取りはさらに特殊で、現金ではなくdポイントやPontaポイントでの還元が基本となります。総務省の家計消費調査でも示されているように、ポイントは使途が限定されるため、現金と同等には評価できません。日常的に通信料金や買い物で消化できる人にとっては実質価値が高まりますが、使い切れない場合は目減りします。
重要なのは、自分にとっての1円の価値をどこで最大化できるかという視点です。最高額を狙うのか、確実性を取るのか、利便性を優先するのかによって、同じ端末でも最適な売却チャネルは変わります。
チャネル別に実質手取り額を分解して考えることで、表面的な価格比較から一歩踏み込み、納得感のある判断が可能になります。これはスマートフォンを単なるガジェットではなく、流動性のある資産として扱うための重要な思考法です。
バッテリー管理と日常メンテナンスで資産価値を守る方法
スマートフォンの資産価値を左右する要素の中で、最も数値として明確に評価され、かつ日常管理の差が出やすいのがバッテリーです。中古市場では外観以上にバッテリー状態が重視され、特に最大容量の数値は査定額を直接的に左右します。
Appleが公式に示している通り、iPhoneではバッテリー最大容量80%が交換推奨ラインとされていますが、中古買取市場でもこの数値が事実上の分岐点として機能しています。主要買取事業者の査定基準を見ると、80%以上であれば減額なし、もしくは軽微な調整に留まる一方、80%未満になると大幅な減額やジャンク扱いとなるケースが珍しくありません。
わずか1%の差が、数千円から1万円以上の価格差を生む点は、MM総研の市場分析やイオシスなどの公開基準からも裏付けられています。
| バッテリー最大容量 | 市場での評価傾向 | 資産価値への影響 |
|---|---|---|
| 90%以上 | 良好、減額なし | 高リセールを維持 |
| 80〜89% | 概ね許容範囲 | 軽微な減額で済む |
| 79%以下 | 劣化と判断 | 大幅減額・ランク低下 |
この差を生むのが、日常的なバッテリー管理です。リチウムイオン電池の劣化は不可逆ですが、進行速度は使い方で大きく変わります。バッテリー研究の分野では、フル充電や完全放電を頻繁に繰り返す使い方が電極への負荷を高めることが知られています。Appleや電池工学の専門家が推奨するのが、いわゆる20〜80%運用です。
具体的には、残量0%まで使い切らず、100%のまま長時間放置しないことが重要です。iOSやAndroidに搭載されている「充電の最適化」機能は、ユーザーの生活リズムを学習し、満充電状態の滞留時間を減らす仕組みになっています。これを有効にしているかどうかで、2年後のバッテリー最大容量に明確な差が出ることが、メーカーの技術資料でも示されています。
さらに見落とされがちなのが温度管理です。高温環境での充電、特にゲームや動画視聴をしながらの充電は、バッテリー劣化を加速させます。これはAppleのサポート文書でも明言されており、真夏の車内放置や、発熱した状態での急速充電は資産価値を削る行為と言えます。
バッテリー最大容量が81〜82%に到達した段階で売却を検討することは、減額リスクを回避する合理的な判断です。80%を下回ってからでは、交換費用以上の価格下落を被る可能性があります。
日常メンテナンスとしては、定期的に最大容量を確認し、異常な減り方を感じた場合は早めに使用環境を見直すことが重要です。バッテリー管理は快適性のためだけでなく、将来の換金価値を守るための金融的な行動でもあります。日々の小さな意識の積み重ねが、売却時に確かな差となって返ってくるのです。
残価設定型プログラムは本当に得なのか?売却との比較
残価設定型プログラムは、毎月の支払額を抑えつつ最新スマートフォンを使える点が強調されがちですが、本当に「得」かどうかは、売却という選択肢と比較して初めて見えてきます。結論から言えば、この仕組みは万人向けではなく、端末の種類と使い方によって評価が大きく分かれます。
残価設定型プログラムの本質は、通信キャリアが2年後の下取り価格をあらかじめ決め、その分を最終回支払として据え置く設計にあります。ドコモやauの公式資料によれば、ユーザーは24カ月後に端末を返却すれば、この残価の支払いが免除されます。つまり将来の価格下落リスクをキャリアに預ける代わりに、所有権を放棄する契約だと理解すると分かりやすいです。
一方で、売却を前提に一括購入した場合は、市場価格の変動をそのまま自分で引き受けることになります。しかし中古スマホ市場は拡大を続けており、MM総研の調査では2025年度の中古スマホ販売台数が353万台に達しています。この流動性の高さは、条件の良い端末ほど高値で売却できる環境が整っていることを意味します。
| 比較項目 | 残価設定型プログラム | 売却(自己売却・買取) |
|---|---|---|
| 将来価格の不確実性 | キャリアが吸収 | 利用者が負担 |
| 端末の所有権 | 実質的になし | 完全に所有 |
| 状態劣化の影響 | 基準超過で追加負担 | 価格は下がるが自由 |
| 得になりやすい機種 | 値下がりが早い端末 | リセールが強い端末 |
特に差が出やすいのがiPhoneとAndroidの違いです。ITmedia Mobileが報じているように、中古市場の流通額の約7割をiPhoneが占めています。2年後でも高値が付きやすいiPhoneの場合、残価設定で返却するよりも、自分で売却したほうが実質負担額が小さくなる、あるいは差額が生じるケースが珍しくありません。
逆に、Androidのハイエンドモデルは価格下落が急で、2年後の市場価格がキャリア設定の残価を下回ることもあります。この場合、売却では損失が顕在化しますが、残価設定型プログラムなら返却するだけで済みます。専門家の間では、これを「価格下落に対する保険」と表現することもあります。
もう一つ見落とされがちな点が、端末状態の制約です。残価設定型プログラムでは、画面割れや著しい傷があると追加費用が発生します。中古買取であれば価格は下がっても取引自体は成立する場合が多く、使い方がラフな人ほど売却の柔軟性が活きると言えます。
結局のところ、残価設定型プログラムは「価格下落が読めない端末を、きれいな状態で2年ごとに使い捨てたい人」には合理的です。一方で、資産価値を意識し、状態管理に自信がある人にとっては、売却という選択肢のほうが経済的リターンを最大化しやすいのが現実です。
参考文献
- ITmedia Mobile:中古スマホ販売台数が6年連続で過去最高に、2029年度は400万台規模へ
- ITmedia Mobile:2025年上半期の中古スマホ流通額ランキング、iPhoneが約7割を占める
- ゲオ公式ニュース:ゲオ・ゲオモバイル2025年 中古スマホ販売・買取ランキング
- イオシス買取:査定基準について|スマホ・携帯電話の買取基準
- ソフマップ ラクウル:iPhoneの買取とバッテリー状態による減額ポイント
- ケータイ Watch:ドコモがiPhoneの下取り額を増額、iPhone 14で最大1.7万円
