スマートフォンのカメラ性能が成熟期に入ったと言われる中で、今なお進化の余地が問われ続けているのが「夜景撮影」ですます。

Galaxy S25 Ultraは、ハードウェアの大幅刷新ではなく、AIを中心とした計算写真学によって夜をどう描くのかという、極めて挑戦的なアプローチを選びました。

本記事では、Galaxy S25 Ultraのナイト撮影性能、とりわけ多くのユーザーが気にするノイズ傾向や画作りの思想について、センサー構成、Snapdragon 8 EliteのAI処理、競合機種との比較、日本市場特有の事情まで含めて整理します。

単なるカメラレビューではなく、「なぜこう写るのか」「その写りは誰に向いているのか」を理解できる内容を目指しています。

夜景や動画撮影を重視する方、S24 Ultraからの買い替えを検討している方、AI補正の強いカメラに違和感を覚えた経験がある方にとって、判断材料となる情報を得られるはずです。

Galaxy S25 Ultraが切り拓く“計算された夜”の現在地を、一緒に見ていきましょうですます。

Galaxy S25 Ultraがナイト撮影で注目される理由

Galaxy S25 Ultraがナイト撮影で注目される最大の理由は、ハードウェアの限界をAIによる計算写真で突破しようとする姿勢が、いよいよ明確になった点にあります。近年のスマートフォンカメラはセンサー大型化が一巡し、端末の薄型化や重量とのトレードオフが顕在化してきました。その中でSamsungは、物理的な進化よりもソフトウェアと半導体の進化に賭ける戦略を鮮明にしています。

Galaxy S25 Ultraでは、メインセンサーに3世代連続でISOCELL HP2を採用しています。センサー自体は大きく変わらない一方、画像処理を担うSnapdragon 8 EliteのISPとNPUが密接に連携することで、暗所撮影の完成度を引き上げています。Qualcommの技術資料によれば、この世代ではISPの処理パイプラインにAIが直接介入できる構造となり、従来よりも低遅延かつ高精度なノイズ処理が可能になったとされています。

注目すべきは、単にノイズを消すのではなく、被写体ごとに処理を変える点です。夜空、建物、人物の肌、光源といった領域をAIがリアルタイムに識別し、それぞれに最適化したノイズリダクションやトーンマッピングを適用します。これにより、暗所でも明るさを確保しながら、破綻しやすいハイライトや色ノイズを抑えることが可能になっています。

要素 ナイト撮影での役割 ユーザー体験への影響
AI ISP RAW段階からのノイズ抑制 暗部が持ち上がりやすい
NPU 被写体認識と領域分割 人物と背景の描写が安定
マルチフレーム合成 複数画像の統合 夜景でも明るく撮れる

こうした処理は、夜景を「肉眼以上に明るく、見栄え良く」仕上げる方向性を強くしています。GSMArenaのレビューでも、Galaxyシリーズは暗所での視認性を優先した画作りが特徴と指摘されています。これは、夜の街や旅行先でSNSに共有する用途と非常に相性が良く、撮った瞬間から完成形に近い写真が得られる点が評価されています。

一方で、ナイト撮影の完成度がAIの判断に大きく依存する点も、S25 Ultraが注目される理由です。センサー性能の差をAIで埋めるというアプローチは、PixelシリーズやiPhoneとも共通しますが、Galaxyは特に「ノイズレスでクリーン」な結果を重視しています。この思想の違いが、夜景写真の印象を大きく左右し、ユーザー間で評価が分かれるポイントにもなっています。

つまりGalaxy S25 Ultraのナイト撮影は、単なる暗所性能の向上ではなく、スマートフォン写真が物理から計算へ本格的に移行した象徴的な存在として注目されているのです。

ナイト撮影の基礎体力を決めるセンサーとノイズの関係

ナイト撮影の基礎体力を決めるセンサーとノイズの関係 のイメージ

ナイト撮影の画質を左右する最初の分かれ道は、AIでもレンズでもなく、イメージセンサーそのものが持つ「基礎体力」です。暗所でどれだけノイズが出にくいかは、センサーが光をどれだけ効率よく受け止められるか、つまり物理的な特性で大枠が決まります。**この段階での性能差は、後段の画像処理では完全には覆せません。**

センサーとノイズの関係を理解する鍵が、S/N比(信号対雑音比)です。これは、光から得られる有効な信号量に対して、どれだけノイズが混じるかを示す指標です。物理学的には、光子の到達はランダムな統計分布に従うため、受光量が少ないほど「揺らぎ」が増え、ショットノイズが目立ちやすくなります。東京大学やMITなどの画像工学分野の研究でも、この光子統計が暗所ノイズの根源であることが繰り返し示されています。

Galaxy S25 Ultraのメインカメラに搭載されるISOCELL HP2は、1/1.3インチという比較的大型のセンサーを持つ一方、単一ピクセルサイズは0.6µmと非常に小さい設計です。この小さな画素は高解像度を実現できる反面、1画素あたりの受光量が少なく、素の状態ではノイズ耐性に不利になります。**暗所性能は画素数よりも画素の大きさが効く**という定説を、まさに体現した構成です。

競合する1インチセンサー搭載機と比較すると、この差はより明確になります。ピクセルサイズが1.6µm級のセンサーは、面積比で約7倍の光を受けられるため、同じISO感度でもノイズが少なく、階調も豊かになります。これはGSMArenaやAndroid Policeなどの専門メディアが行った夜景比較テストでも、一貫して確認されている傾向です。

項目 Galaxy S25 Ultra 1インチセンサー機の例
センサーサイズ 1/1.3インチ 1インチ
ピクセルサイズ 0.6µm 約1.6µm
暗所での素のS/N比 不利 有利

Samsungはこの物理的ハンデを補うため、Tetra²pixelと呼ばれる高度なピクセルビニング技術を採用しています。暗所では16画素をまとめ、仮想的に2.4µm相当の大きな画素として扱うことで、受光量を増やしノイズを平均化します。**これは確かに効果的ですが、あくまで応急処置であり、センサー自体のノイズフロアが消えるわけではありません。**

超広角カメラでは、50MP化によってさらに状況が複雑になります。画素ピッチは0.7µmまで小さくなり、ナイトモードではビニングによって1.4µm相当になりますが、画素分離構造の影響で実効的な受光面積は従来の1.4µm画素よりわずかに劣ります。初期レビューで指摘されている暗部のカラーノイズの出やすさは、この物理構造に起因する部分が大きいです。

センサーサイズとピクセルサイズで決まるノイズ耐性は、ナイト撮影の出発点であり、AIはその差を埋めるための後追いの手段に過ぎません。

重要なのは、Galaxy S25 Ultraのナイト撮影が「センサーの限界を前提に設計されている」という点です。Samsung自身も公式技術資料で、近年の画質向上の中心がセンサーではなく演算処理に移っていることを示唆しています。**つまり、夜に強いかどうかは、まずセンサーがどこまで耐えられるかを知ることから始まります。**この基礎体力を理解することで、なぜノイズの出方に機種ごとの個性が生まれるのかが、より立体的に見えてきます。

メインカメラ据え置きが意味するもの

メインカメラが据え置かれたという事実は、単なるコスト調整や進化の停滞ではなく、Samsungのカメラ戦略が明確な転換点に入ったことを示しています。Galaxy S25 Ultraでは、200MPのISOCELL HP2が3世代連続で採用されましたが、これはハードウェアの完成度が限界に近づき、**物理的な進化よりも計算による最適化を優先する段階に入った**ことを意味します。

ISOCELL HP2は1/1.3インチという大型センサーではあるものの、単一ピクセルは0.6µmと極めて小さく、暗所ではショットノイズの影響を受けやすい設計です。これを補うため、Samsungは16画素を束ねるTetra²pixelビニングを前提とした画作りを徹底してきました。センサーを変えない判断は、このビニング特性やノイズ特性を含めた挙動を、すでに完全に把握し切っているという自信の裏返しでもあります。

一方で、ソニーの1インチ級センサーを採用する競合機と比べると、受光量という物理条件では不利なままです。光子の到達がポアソン分布に従う以上、ピクセルが小さいほどS/N比が不利になるのは避けられません。**メインカメラ据え置きは、この物理法則をAIでねじ伏せるという覚悟表明**とも読み取れます。

項目 Galaxy S25 Ultra 1インチセンサー機
センサーサイズ 1/1.3インチ 約1インチ
単一ピクセルサイズ 0.6µm(16in1時2.4µm相当) 1.6µm
暗所の素のS/N比 AI前提で補正 物理的に有利

QualcommやSamsung Semiconductorの技術資料によれば、近年の画質向上の大半はISPとNPUの協調処理によるもので、センサー単体の量子効率改善は年率で見ても緩やかです。こうした業界全体の傾向を踏まえると、HP2の継続採用は合理的な選択とも言えます。

ただし、ユーザー体験の観点では意味合いが変わります。ハードが同じである以上、画質の差はソフトウェアに強く依存し、アップデート次第で評価が大きく揺れ動きます。**良く言えば伸びしろがある、悪く言えば初期完成度に不安が残る**という状態です。

メインカメラ据え置きが意味するのは、もはやセンサー競争ではなく、AIによるノイズ制御と質感表現こそが主戦場になったという現実です。夜景が自然に見えるか、それとも人工的に感じるかは、この後段処理をユーザーがどう評価するかに委ねられています。

超広角50MP化で何が変わったのか

超広角50MP化で何が変わったのか のイメージ

Galaxy S25 Ultraで最も分かりやすいカメラ変更点が、超広角カメラの50MP化です。従来の12MPから一気に高画素化されたことで、単なる数値上の進化に見えますが、実際には撮影体験や画作りの方向性に明確な変化が生じています。

まず日中撮影では、50MP化の恩恵は非常に大きいです。風景撮影では、建物の輪郭や遠景の看板文字、自然風景における木の葉や岩肌の細部までしっかり描写され、**超広角=解像感が甘いという従来のイメージを大きく覆します**。Samsung Semiconductorのセンサー仕様公開情報によれば、新たに採用されたISOCELL JN3は微細構造の描写性能を重視した設計で、マクロ的な近接撮影との相性も良好です。

一方で、暗所では評価が分かれます。50MP化と引き換えに、画素ピッチは0.7µmまで小型化されました。これは1画素あたりの受光量が減ることを意味し、物理的にはノイズが増えやすい条件です。実際、GSMArenaや複数の初期レビューでも、**夜景撮影ではAIノイズ処理への依存度が高まった**点が指摘されています。

項目 S24 Ultra S25 Ultra
超広角画素数 12MP 50MP
画素ピッチ 1.4µm 0.7µm
暗所での基本特性 物理的に有利 AI補正が前提

ナイトモードでは4画素を束ねるビニング処理により、出力は約12.5MP、理論上の画素サイズは1.4µm相当になります。ただし、センサー内部の画素分離構造の影響で、従来の12MPセンサーと完全に同等とは言えません。そのため、暗部を持ち上げた際にカラーノイズが浮きやすく、**ディテール保持とノイズ除去のバランスが極めてシビア**になっています。

この課題を補っているのが、Snapdragon 8 EliteのAI ISPです。Qualcommの公式資料によれば、超広角でもリアルタイムで被写体を領域分割し、空や建物、植物などを個別に処理できます。これにより、夜景全体はクリーンに見えますが、拡大すると壁面や路面の質感が均される、いわゆる塗り絵的な傾向が出る場合があります。

総じて超広角50MP化は、**昼間の表現力を大きく伸ばす一方、夜はAIの作風を受け入れるかどうかが評価を左右する進化**です。広く写すだけでなく、細部まで記録したいユーザーにとっては魅力的ですが、自然な粒状感を重視する人には好みが分かれる変更と言えるでしょう。

Snapdragon 8 Eliteが支えるAIナイトグラフィー

Galaxy S25 Ultraのナイトグラフィーを語る上で中核を成すのが、Snapdragon 8 Eliteが担うAI処理能力です。センサー自体の物理的な進化が限定的な中、**夜景の完成度を引き上げている主役はSoC側の計算写真学的アプローチ**だと言えます。

Qualcommが公開している技術資料によれば、Snapdragon 8 EliteではISPとHexagon NPUが直結する構造が採用され、RAW段階からAIが介入できるようになっています。これにより、暗所で不足しがちな光子情報を、過去フレームや周辺ピクセルの文脈から補完する処理が高速かつリアルタイムで実行されます。

特にナイトグラフィーで効果を発揮するのが、**セマンティック・セグメンテーションを用いた領域別ノイズ制御**です。夜空、建物、肌、光源といった要素をAIが瞬時に識別し、それぞれに異なるノイズリダクションやシャープネスを適用します。

被写体領域 AI処理の特徴 夜景での効果
夜空・暗部 強力な輝度・色ノイズ低減 黒が締まり星や雲が浮き立つ
建物・構造物 ディテール優先の軽減処理 壁面や輪郭が潰れにくい
光源 局所HDRとトーン制御 白飛びを抑え色味を保持

この処理は静止画だけでなく、4K/60fpsの夜間動画にも適用されます。Qualcommのプロダクトブリーフでは、フレーム間の差分をAIが解析し、ランダム性の高いノイズ成分のみを除去するテンポラル・ノイズリダクションの精度向上が強調されています。実際、街灯下でのVlog撮影では、背景ノイズを抑えつつ被写体の顔の明るさを安定して保てます。

**物理的な受光不足を前提に、AIが画を再構築する思想こそがSnapdragon 8 Elite世代のナイトグラフィーの本質**です。

一方で、AI処理が強力になった分、副作用も顕在化します。暗所で動く被写体がいる場合、複数フレーム合成の整合性が崩れ、輪郭の滲みや残像が生じるケースがあります。これはGSMArenaなどの実写レビューでも指摘されており、計算写真が万能ではないことを示しています。

それでも、限られたセンサーサイズという制約の中で、ここまで夜を明るく、ノイズレスに描き切る体験は、Snapdragon 8 EliteのAI演算性能があってこそ成立しています。**夜景を“撮る”という行為そのものを、計算によって成立させている**点が、S25 Ultraのナイトグラフィーを特別な存在にしています。

AIノイズリダクションの限界と副作用

AIノイズリダクションは暗所撮影の成功率を劇的に高めましたが、万能ではありません。特にGalaxy S25 Ultraのように物理センサーの制約をAIで補う設計では、その限界と副作用が画質に明確に表れます。ここを理解しておかないと、「綺麗だが不自然」「拡大すると違和感がある」と感じる原因を見誤ります。

まず根本的な限界として、AIは光子そのものを増やせません。量子力学的に、暗所ではショットノイズが必ず発生します。Qualcommが公開しているSnapdragon 8 Eliteの技術資料でも、AI処理はあくまでノイズを推定・除去・補完するものであり、情報が存在しない部分を完全に復元するものではないと説明されています。この前提が、副作用の出発点になります。

副作用の種類 発生しやすい条件 見た目の特徴
ディテール消失 極低照度の静止画 壁や布地が平坦になり質感が弱まる
ゴースト 夜間の人物・車両 輪郭が二重、半透明の残像が残る
偽テクスチャ 高ISO+強NR 存在しない模様が生成される

特に問題になりやすいのが、ディテール消失、いわゆる「塗り絵化」です。GSMArenaなどの専門レビューでも指摘されている通り、S25 Ultraはノイズを嫌うチューニングのため、暗部に強いスムージングがかかります。その結果、レンガやアスファルト、肌の微細な凹凸が平均化され、情報量は減っているのに一見すると綺麗に見える状態になります。SNS用途では有利ですが、等倍鑑賞や編集前提では弱点になります。

次にゴーストやスミアリングです。夜景モードでは複数フレームを合成するマルチフレームNRが使われますが、被写体が動くとフレーム間の位置合わせが完全には追従できません。Samsung自身も公式動画で、動体検出と合成枚数制御を行っていると説明していますが、低照度ではAIがノイズと動きの境界を誤認識するケースが残ります。その結果、人物の手や顔の輪郭が溶けたり、街灯の周囲に滲みが出たりします。

さらに見落とされがちなのが、偽テクスチャの生成です。AIは学習データに基づいて「それらしく」補完するため、実際には存在しない木目や布目を描いてしまうことがあります。これは研究論文でも指摘されている、生成的デノイズの副作用で、写真としての忠実性より視覚的整合性を優先した結果です。拡大表示やRAW現像時に違和感として表面化します。

AIノイズリダクションは「ノイズを消す技術」ではなく、「情報を取捨選択する技術」です。何を残し、何を捨てるかの判断には必ず偏りが生まれます。

つまり、S25 UltraのAIノイズリダクションは、夜を明るく、クリーンに見せる代わりに、物理的に不利な条件では副作用を伴います。この性質を理解したうえで使うかどうかが、満足度を大きく左右します。

静止画と動画で異なる夜景の評価

夜景撮影におけるGalaxy S25 Ultraの評価を語る上で重要なのが、静止画と動画で画質の方向性が大きく異なる点です。**同じナイトグラフィーという枠組みでも、写真と動画ではAIの介入度合いと結果の印象が明確に分かれます。**この差を理解することが、満足度を左右します。

まず静止画の夜景では、徹底したノイズ排除が最優先されています。Snapdragon 8 EliteのISPとNPUが連携し、複数フレームを合成することで暗部の輝度ノイズやカラーノイズを強力に低減します。その結果、遠景のビル群や夜空は非常にクリーンに仕上がりますが、**アスファルトの粒状感や壁面の微細な凹凸が失われやすい**傾向があります。GSMArenaの比較レビューでも、S25 Ultraは「拡大するとディテールが溶けて見える場面がある」と指摘されています。

一方で動画の夜景評価は、静止画とは対照的に高い完成度を示します。4K/60fpsでもリアルタイムAIノイズリダクションが動作し、時間軸でノイズを平均化するテンポラル処理が有効に機能します。Qualcommの技術解説によれば、この方式はランダムノイズのみを除去しやすく、結果として**動きのある夜景でも破綻しにくい映像表現**が可能になります。

項目 静止画 夜景 動画 夜景
ノイズ処理の強さ 非常に強い 中〜強(時間軸処理)
ディテール保持 暗部で弱くなりやすい 動体を含め比較的安定
自然さの印象 クリーンだが人工的 実景に近い

特に夜の街を歩きながら撮る動画では、街灯やネオンのハイライトが白飛びしにくく、歩行者の輪郭も安定しています。Tom’s Guideの検証でも、夜間Vlog用途ではS25 Ultraの動画性能がAndroid勢の中でトップクラスと評価されています。**静止画で感じやすい塗り絵的処理が、動画では目立ちにくい**のが大きな違いです。

ただし万能ではありません。急激なパンや車のヘッドライトが連続するシーンでは、残像や軽いスミアリングが発生する場合があります。これは複数フレーム統合の副作用であり、Samsung自身も公式デモで「極端な低照度では挙動が変わる」ことを示唆しています。

総合すると、**夜景を一枚の作品として残したいなら静止画は好みが分かれ、夜の雰囲気をそのまま共有したいなら動画が非常に強い**という評価になります。写真と動画でここまでキャラクターが異なる点こそ、Galaxy S25 Ultraの夜景性能を語る上で最も特徴的なポイントです。

iPhone・Pixel・中華フラッグシップとの夜景比較

夜景撮影におけるGalaxy S25 Ultraの立ち位置を理解するには、iPhone、Pixel、そして中華系フラッグシップとの思想の違いを押さえることが重要です。各社とも夜景を重視していますが、アプローチは驚くほど異なります。

Galaxy S25 Ultraは「AIで夜を明るく、ノイズを消す」方向性が極めて強いのが特徴です。Snapdragon 8 EliteのISPとNPUが連携し、暗部を大胆に持ち上げながらノイズを徹底的に抑えます。その結果、肉眼以上に明るい夜景が得られる一方、拡大すると質感が溶ける場面もあります。

機種系統 夜景の基本思想 ノイズと質感の傾向
Galaxy S25 Ultra AIで明るくクリーン ノイズは少ないが平坦化しやすい
iPhone 16 Pro ディテール優先 粒状感を残し質感重視
Pixel 9 Pro XL 夜の雰囲気重視 暗部階調が自然でノイズ細かい
中華系フラッグシップ 物理性能重視 低ノイズかつ自然

iPhone 16 ProはAppleのPhotonic Engineにより、ノイズを完全には消さず壁や路面のテクスチャを残す設計です。夜景でも「ザラつき」は見えますが、写真としての情報量は多く、GSMArenaなどの評価でも拡大時の解像感はiPhoneが有利と指摘されています。

Pixel 9 Pro XLはGoogleらしく、HDR+による多枚数合成でノイズを平均化します。夜を無理に昼のようにせず、暗さを保ったまま階調を残すため、雰囲気重視の夜景ではPixelが最も自然と感じる人も多いです。PhoneArenaの比較でも、シャドウの色転びが少ない点が評価されています。

一方でXiaomiやvivoなどの中華系フラッグシップは、1インチ級センサーを武器にします。受光量そのものが多いため、AI処理に頼らずともノイズが少なく、夜景でも立体感があります。Android Policeが指摘する通り、これは物理法則による差で、GalaxyがAIで埋めようとしている領域です。

総じて、派手でSNS映えする夜景ならGalaxy、質感重視ならiPhoneやPixel、純粋画質なら中華系という棲み分けが明確です。Galaxy S25 Ultraの夜景は「計算された美しさ」であり、その作風をどう評価するかが選択の分かれ目になります。

日本ユーザーが知っておくべき注意点

日本ユーザーがGalaxy S25 Ultraを選ぶ際、スペック表だけでは見えない注意点がいくつかあります。とくにナイト撮影を重視する場合、**日本独自の仕様や運用面の制約**が撮影体験に直結しますので、事前に理解しておくことが重要です。

まず最も影響が大きいのが、**日本版端末におけるシャッター音の強制仕様**です。業界の自主規制とキャリア要請により、サイレントモードでもシャッター音が鳴ります。Android 14以降はセキュリティ強化により、従来知られていた設定変更アプリによる無音化はほぼ不可能になっています。夜景スポットや静かな屋内での撮影では、この仕様が心理的ハードルになる点は否定できません。

次に注意したいのが、**アップデート配信のタイムラグ**です。Samsungは長期アップデートを公約していますが、日本市場ではキャリア検収の影響で、海外版より数週間から1か月程度遅れる傾向があります。GSMArenaなどの海外レビューで評価が改善されていても、日本版では初期ファームウェアの癖がしばらく残る可能性があります。

発売直後の画質が完成形とは限らない点は、日本ユーザーが特に意識すべきポイントです。

画質面では、**AIノイズリダクションの強さに好みが分かれる**ことも注意点です。Snapdragon 8 EliteのAI ISPは暗所ノイズを大幅に低減しますが、その代償としてディテールが滑らかになりすぎる場面があります。とくに50MP化した超広角カメラは、物理的な受光量の制約をAIで補っているため、条件次第で「塗り絵的」に見えることがあります。

Expert RAWを使えば加工を抑えた撮影が可能ですが、RAWデータにはセンサー由来のノイズがそのまま残ります。Adobeなどの現像環境が前提になるため、**スマホ単体で完結したい人には扱いが難しい**点も理解しておくべきです。

注意点 内容 現実的な対処
シャッター音 日本版は無音化不可 海外版購入や用途割り切り
画質の完成度 初期はAI処理が過剰な場合あり アップデート待ち
RAWのノイズ 素のS/N比が露呈 現像スキルが必要

総じてGalaxy S25 Ultraは、技術的には最先端でも、日本市場では**運用面でのクセを理解した上で使いこなす端末**です。カタログスペックの高さだけで判断せず、自分の撮影スタイルとこれらの注意点が許容できるかを冷静に見極めることが、後悔しない選択につながります。

Expert RAWで見える本来のノイズ特性

Expert RAWで撮影した際に最初に感じるのは、デフォルトのカメラアプリとは明らかに異なるノイズの出方です。JPEGやHEIFでは強力なAIノイズリダクションによって表面上は非常にクリーンに見えますが、Expert RAWではセンサーが受け取った光量不足の現実が、そのまま画面に現れます

特にシャドウ部には輝度ノイズとカラーノイズが混在し、暗部を持ち上げると粒状感が一気に目立ちます。これは不具合ではなく、Samsung Semiconductorが公開しているISOCELL HP2の特性説明や、Adobeが提唱するRAWワークフローの考え方とも一致する、いわば「正しい挙動」です。AIが介入しすぎない分、壁の凹凸や布地の繊維、髪の毛のエッジが失われにくい点が最大の特徴です。

Galaxy S25 UltraのExpert RAWは、完全なシングルショットRAWではありません。実際にはマルチフレーム合成によるダイナミックレンジ拡張が行われており、白飛び耐性は確保されています。一方でノイズリダクションは極めて控えめで、ノイズを消すか、質感を残すかという最終判断をユーザーに委ねる設計になっています。

項目 通常カメラ Expert RAW
ノイズ量 非常に少ない 多く見える
ディテール 平滑化されやすい 保持されやすい
編集耐性 低め 高い

Redditや海外レビューでも指摘されている通り、S25 UltraのRAWは「ノイジーすぎる」と感じられがちですが、それはAIによる塗り絵処理を排した結果です。実際にLightroomで輝度ノイズとカラーノイズを個別に調整すると、JPEGでは既に失われていた微細構造が復活し、後処理の自由度の高さを実感できます。

またExpert RAW独自の24MPモードは、12MPのS/N比と50MPの解像感を折衷した設計で、夜景撮影との相性が非常に良好です。50MP RAWで顕著だった色ノイズが抑えられ、12MPでは不足しがちな情報量も確保されます。Galaxy S25 Ultraの本来のノイズ特性を理解し、コントロールするための最適解が、この24MP RAWだと言えるでしょう。

Expert RAWで見えるノイズは欠点ではなく、計算写真が覆い隠してきた物理的限界の可視化です。その粒子感をどう料理するかが、この端末を使いこなす楽しさであり、写真好きにとっての価値そのものです。

参考文献