ハイエンドスマートフォンを選ぶとき、スペック表だけでは見えてこない「実際の使い心地」が気になる方は多いのではないでしょうか。特にGalaxy S25 Ultraは、Snapdragon 8 Elite for Galaxyという特別仕様のSoCを搭載し、登場時から大きな注目を集めてきました。
発売から約1年が経過した今、本当にその性能は日常体験を変えたのか、それともピーク性能だけの自己満足に終わったのか。長期使用によるバッテリー劣化や発熱、カメラの弱点、ソフトウェアアップデート後の変化など、購入前には知っておきたい論点が数多く存在します。
本記事では、実測ベンチマークデータやユーザーの長期利用事例、競合機種との比較を通じて、Galaxy S25 Ultraの強みと課題を多角的に整理します。さらに次期モデルS26 Ultraの最新動向も踏まえ、「今あえてS25 Ultraを選ぶ価値があるのか」を判断できる視点を提供します。スペック重視のガジェット好きから、失敗しない買い替えを考える方まで、最後まで読むことで納得の答えが見えてくるはずです。
Snapdragon 8 Elite for Galaxyとは何が特別なのか
Snapdragon 8 Elite for Galaxyが特別とされる最大の理由は、**汎用品のSoCではなく、Galaxy向けに明確な技術的最適化が施された専用設計**である点にあります。QualcommとSamsungの独占的パートナーシップにより、このチップは単なるロゴ違いではなく、クロック、電力制御、AI処理の挙動に至るまでGalaxy S25 Ultraの特性を前提に調整されています。
製造プロセスにはTSMCの第2世代3nmプロセスが採用され、従来のARM Cortex系からQualcomm独自のOryon CPUアーキテクチャへ完全に移行しました。特に注目すべきは、**高効率コアを廃したオールビッグコア構成**です。2基のプライムコアと6基のパフォーマンスコアのみで構成される設計は、瞬間的なレスポンスだけでなく、複数アプリを同時に扱う現代的なスマートフォン利用に強く最適化されています。
for Galaxy版では、このプライムコアが最大4.47GHzで動作します。標準版Snapdragon 8 Eliteの4.32GHzを上回る設定であり、PhoneArenaやGeekbench Browserの実測データでも、この差がシングルスレッド性能やアプリ起動速度に体感的な違いをもたらすことが確認されています。**数値上は小さなクロック差でも、日常操作では確実に効いてくる調整**です。
| 項目 | 標準版 Snapdragon 8 Elite | for Galaxy 版 |
|---|---|---|
| 最大CPUクロック | 4.32GHz | 4.47GHz |
| CPU構成 | Oryon 2+6 | Oryon 2+6(最適化) |
| チューニング方針 | 汎用デバイス向け | Galaxyの熱設計前提 |
さらに重要なのが、ISPとNPUの協調設計です。Qualcomm公式リリースでも触れられている通り、Snapdragon 8 Elite for GalaxyではHexagon NPU上のAI推論パイプラインがGalaxy AI向けに最適化されています。リアルタイム翻訳や生成編集といった処理では、**クラウド依存を減らし、端末内で高速に完結する挙動**が実現されています。
Geekbench AIの実測では、量子化モデル処理において前世代比で最大50%超の高速化が確認されており、これは単純な演算性能ではなく、メモリアクセスやスケジューリングまで含めた調整の成果です。Android Authorityも、同一世代の他社端末と比較してGalaxy S25 UltraのAI推論レイテンシが低い点を評価しています。
一方で、この特別仕様は万能ではありません。高クロック化と積極的な性能解放は発熱増大と表裏一体であり、長時間の高負荷ではサーマルスロットリングが発生します。それでもSamsungがこの設定を選んだのは、**短時間の体感性能を最優先するという明確な思想**があるからです。Snapdragon 8 Elite for Galaxyは、数字以上に“触った瞬間の速さ”を重視した、極めてGalaxyらしいSoCだと言えます。
CPU・GPU実測ベンチマークで見えた性能の到達点

Galaxy S25 Ultraの性能を語るうえで避けて通れないのが、CPUとGPUの実測ベンチマークが示した「到達点」です。Snapdragon 8 Elite for Galaxyは理論値ではなく、実測データにおいてAndroidスマートフォンの性能指標を書き換える結果を残しています。特にGeekbench 6の数値は、モバイルSoCの勢力図が変わりつつあることを明確に示しています。
CPU性能を見ると、Geekbench 6のマルチコアスコアは9,500〜9,800点前後を安定して記録しています。これはAppleのA18 Proが約8,800点前後であることを考えると、**マルチスレッド処理ではAndroidが長年の劣勢を覆した象徴的な結果**です。動画エンコードや大量データの展開、複数アプリを同時に動かすような場面では、この差が処理時間の短縮として表れます。
| チップセット | Geekbench 6 シングル | Geekbench 6 マルチ |
|---|---|---|
| Snapdragon 8 Elite for Galaxy | 約3,000 | 9,500〜9,800 |
| Apple A18 Pro | 約3,600 | 約8,800 |
一方でシングルコア性能ではA18 Proが依然として優位に立っています。IPCの高さはAppleシリコンの伝統的な強みであり、数値だけを見れば差は存在します。ただし実使用では120Hzディスプレイ制御やOne UIの最適化が効き、**操作感としての体感差はほぼ感じ取れない水準**まで縮まっています。複数のテック系レビューサイトも「レスポンスはiPhoneと同等か、それ以上に滑らか」と評価しています。
GPU性能に目を向けると、Adreno 830は初速の爆発力で群を抜いています。3DMark Wild Life Extremeの初回スコアは約6,200点に達し、同世代のiPhoneを明確に上回ります。レイトレーシング対応テストでも高いフレームレートを記録しており、モバイルGPUとしては異例の描画性能です。
しかし、20分以上のストレステストでは別の顔を見せます。発熱により3〜4分でサーマルスロットリングが発動し、安定スコアは約4,000点前後、ピーク比で60〜70%に落ち着きます。**短時間の高負荷では最強、長時間では制御が入る**という挙動は、多くの実測レビューで共通して確認されています。
総合すると、Galaxy S25 UltraのCPU・GPU性能は「数値を競う時代の終着点」に近い水準です。ピーク性能だけを見れば現行スマートフォンの中で最上位に位置し、専門メディアやGeekbench公式データがそれを裏付けています。その一方で、熱という現実的な壁が明確になった点も、実測ベンチマークだからこそ見えた重要な示唆と言えます。
Apple Aシリーズとの性能差は体感できるのか
Apple AシリーズとSnapdragon 8 Elite for Galaxyの性能差は、数値上では明確でも、実際に使って体感できるかどうかは別問題です。結論から言えば、日常操作レベルでは差を意識する場面はほとんどなく、用途によって体感の有無が分かれます。この点を理解するには、ベンチマークと実使用の乖離を冷静に見る必要があります。
まずCPU性能についてです。Geekbench 6では、Galaxy S25 Ultraはマルチコアで約9,500〜9,800点を記録し、A18 Proの約8,800点を上回ります。一方、シングルコアではA18 Proが約3,600点、S25 Ultraは約3,000点前後です。この違いは、Appleが長年磨いてきたIPC重視の設計思想によるもので、Apple公式技術解説やTSMCのプロセス分析でも、単一スレッド効率の高さが強調されています。
| 利用シーン | Apple Aシリーズ | Snapdragon 8 Elite for Galaxy |
|---|---|---|
| アプリ起動・UI操作 | 非常に安定して高速 | 同等以上に滑らか |
| 動画編集・書き出し | 高速だが長時間は抑制 | 短時間処理は明確に速い |
| マルチタスク | OS最適化で安定 | 同時処理数が多いほど有利 |
体感差が出やすいのは、動画エンコードやRAW写真の一括処理、ZIP展開などマルチスレッドを長く回す作業です。複数の専門レビューによれば、同条件下での動画書き出しでは、S25 Ultraのほうが完了までの時間が短いケースが確認されています。ただし、ここで重要なのは持続性で、筐体温度が上昇するとGalaxy側はサーマルスロットリングが早めに入り、性能が平準化されます。
逆に、Web閲覧やSNS、決済、地図アプリといった日常操作では、差を感じることはほぼ不可能です。むしろ120HzディスプレイとOne UIのアニメーション最適化により、Galaxy S25 Ultraのほうが滑らかに感じられる場面もあります。GSMArenaやCNETの長期レビューでも、操作レスポンスに関してはiOSとAndroidの優劣ではなく、表示制御と入力遅延の差が体感を左右すると指摘されています。
もう一つの分岐点がAI処理です。Snapdragon 8 EliteのHexagon NPUは、量子化モデルの推論で大きな性能向上を示しており、画像切り抜きや超解像といったローカルAI処理では、待ち時間の短さを体感できる場面があります。一方Appleは、AシリーズのNPU性能をiOS全体で均質に使わせる設計のため、派手な差は出にくいものの安定感があります。
総合すると、軽〜中負荷では体感差なし、高負荷の短時間処理ではGalaxy、一貫した安定動作ではAppleという構図です。数字上の勝敗よりも、自分がどの負荷領域を多く使うかで、体感の答えは変わります。
ゲーミング性能とレイトレーシングの現実

Galaxy S25 Ultraのゲーミング性能は、Snapdragon 8 Elite for GalaxyとAdreno 830 GPUの組み合わせによって、モバイルゲームの水準を一段引き上げています。特に注目すべきは、スマートフォンとしては成熟期に入りつつあるハードウェアレイトレーシングが、いよいよ「実用段階」に差し掛かった点です。
Qualcommの公式技術解説によれば、Adreno 830は前世代比で約40%のグラフィックス性能向上を果たしており、レイトレーシング専用ユニットの効率改善が大きく寄与しています。対応タイトルでは、水面反射や影の自己遮蔽がより自然になり、従来の疑似表現とは一線を画す立体感を実現しています。
短時間のプレイに限れば、S25 Ultraは現行スマートフォンの中で最上位クラスの描画品質とフレームレートを両立します。実測では『原神』や『崩壊:スターレイル』を最高設定で動かしても、60fpsをほぼ安定して維持でき、設定を妥協する必要はほとんどありません。
| テスト内容 | ピーク時挙動 | 持続時挙動 |
|---|---|---|
| 3DMark Wild Life Extreme | 約6,200点 | 約4,000点前後 |
| レイトレ対応実ゲーム | 高精細・安定描画 | 負荷上昇時に変動あり |
一方で、レイトレーシングの「現実」も明確です。3DMarkのストレステストでは、開始数分でサーマルスロットリングが発生し、GPU性能はピーク時の約60〜70%に落ち着きます。これは冷却機構を40%拡大したSamsungの設計努力をもってしても、物理法則の壁を越えられなかったことを示しています。
海外レビューで知られるGSMArenaやCNETの長期評価でも、「初動の爆発力」と「長時間時の安定性」の落差は共通して指摘されています。特にMMORPGの長時間レイドや、バトルロイヤル終盤の高負荷シーンでは、フレームレートの揺らぎを感じる可能性があります。
つまり、Galaxy S25 Ultraのレイトレーシングは“常時ONにして遊び続ける機能”ではなく、“映像表現を重視する場面で使い分ける贅沢な選択肢”と言えます。現時点では、PCや据え置き機の代替というより、モバイルゲーム体験を一段引き上げるための先進的オプションとして捉えるのが現実的です。
それでも、省電力モードでも高いフレームレートを維持できる余力や、将来の最適化を見据えたGPU性能の高さは、専門家の間でも高く評価されています。S25 Ultraは、モバイルゲーミングが次の世代へ進む「過渡期の完成形」として、確かな存在感を放っています。
発熱とサーマルスロットリングという物理的制約
Galaxy S25 Ultraの性能を語るうえで、避けて通れないのが発熱とサーマルスロットリングという物理的制約です。Snapdragon 8 Elite for Galaxyは、TSMCの3nmプロセスと高クロック化によって瞬間的に非常に高い性能を発揮しますが、その代償として発熱密度が極めて高くなっています。**これは設計ミスではなく、現行スマートフォンというフォームファクターが直面している構造的な限界**と捉えるべきです。
実測データを見ると、この特性は明確です。3DMark Wild Life Extreme Stress Testのように20分間GPUへ最大負荷をかけ続けるテストでは、開始直後のスコアは約6,200点と業界トップクラスを記録します。しかし3〜4分経過したあたりでSoC温度が上昇し、サーマルスロットリングが作動、以降は性能が意図的に抑制されます。安定状態ではピーク時の約60〜70%で推移することが多く、短時間の処理には圧倒的に強い一方、長時間の高負荷には向かない性格が浮き彫りになります。
| テスト状況 | 初期性能 | 安定後性能 |
|---|---|---|
| GPUストレステスト開始直後 | 約6,200点 | – |
| 高負荷継続後 | – | 約4,000点前後 |
Samsungは冷却対策として、前世代比で約40%大型化したベイパーチャンバーを搭載しています。それでもなお完全に熱を処理しきれないのは、チタンフレームとガラス背面という素材選択も影響しています。チタンは剛性に優れる一方で熱伝導率が低く、内部に熱が滞留しやすい特性があります。その結果、カメラユニット周辺を中心に筐体表面温度が45℃付近まで上昇するケースが確認されています。専門メディアの検証によれば、これは安全上の上限ギリギリを攻めたチューニングによるものです。
重要なのは、スロットリングが常に悪影響を及ぼすわけではない点です。**日常利用や短時間のゲーム、写真編集ではピーク性能を存分に享受でき、発熱を意識する場面は多くありません。**一方で、長時間の3Dゲームや連続した高解像度動画処理では、フレームレートの変動や処理速度低下を体感する可能性があります。これはGalaxy S25 Ultraが短距離走に特化した設計思想を持つことの裏返しとも言えます。
半導体工学の観点では、3nm世代以降は性能向上と発熱管理のトレードオフが急激に厳しくなると、IEEEや主要半導体研究機関でも指摘されています。Galaxy S25 Ultraは、その最前線に立つ製品であり、**シリコンの進化が物理法則に突き当たった現在地を、ユーザー体験として可視化した存在**だと言えるでしょう。
バッテリー持ちと1年後の劣化実態
Galaxy S25 Ultraのバッテリー持ちは、発売から1年が経過した現在でもフラッグシップ級として高い評価を維持しています。容量自体は5,000mAhと前世代から据え置きですが、Snapdragon 8 Eliteの電力効率改善とOne UIの最適化が実使用時間を底上げしている点が特徴です。
複数の海外レビューサイトやYouTubeによる実測ドレインテストによれば、動画再生、SNS、カメラ撮影、軽度のゲームを組み合わせた一般的な使用で、1日は余裕、使い方次第では1日半に迫る駆動時間が確認されています。CNETやTom’s Guideなどの評価でも、Android端末の中では安定して上位に位置づけられています。
一方で、バッテリー持ちの絶対王者とされるiPhone 16 Pro Maxと比較すると、連続使用テストでは最終的に20〜30分程度短い結果になるケースが多く報告されています。これはAppleが長年積み上げてきた待機電力制御と、高効率コアを活かしたタスク分配の差によるものだと、半導体アナリストの分析でも指摘されています。
| 比較項目 | Galaxy S25 Ultra | 参考機種 |
|---|---|---|
| 実利用バッテリー持ち | 約1日〜1.5日 | iPhone 16 Pro Max:約1.5日 |
| 高負荷時の消費 | やや多め | Pixel 9 Pro XL:多い |
| 待機時消費 | One UI 8.5で改善 | 旧One UI 8.0:悪化報告あり |
注目すべきは、発売後のソフトウェア更新による改善です。SamsungがOne UI 8.5で導入した「Network Battery Saver」は、端末未使用時の通信をAIが抑制する仕組みで、待機時のバッテリー消費を目に見えて低減しています。SamMobileによれば、この機能により夜間放置時のバッテリー減少が数%単位で改善したとの報告があります。
では、1年後の劣化実態はどうでしょうか。RedditやSamsung Communityに投稿された長期使用レポートを総合すると、80%充電制限を活用し、過度な発熱を避けたユーザーではバッテリー健全性97〜100%を維持している例が多く見られます。これはリチウムイオン電池の品質が比較的高いことを示しています。
一方、45W急速充電を頻繁に使い、充電しながら高負荷ゲームを行うような使い方では、1年で90%前半まで低下した事例も確認されています。電池技術の専門家が指摘する通り、劣化を早める最大の要因は電圧よりも熱であり、発熱しやすい本機では使い方が寿命に直結します。
総合すると、Galaxy S25 Ultraのバッテリーは「突出して長持ち」ではないものの、1年後でも体感差が出にくい安定性を備えています。適切な充電管理を行えば、長期使用でも実用性を大きく損なわない点は、日常使いを重視するユーザーにとって大きな安心材料と言えるでしょう。
カメラ性能の強みとシャッターラグ問題
Galaxy S25 Ultraのカメラ性能は、一言で言えば静止した被写体や遠景では依然として業界トップクラスである一方、動体撮影におけるシャッターラグ問題を完全には克服できていないという二面性を抱えています。
まず強みとして明確なのがズーム性能です。5倍光学ズームと2億画素センサーのクロップ、さらにSnapdragon 8 EliteのISPとAI超解像処理を組み合わせたハイブリッドズームは、10倍から30倍といった実用域で圧倒的な解像感を維持します。GSMArenaの比較レビューでも、細部の文字情報や建築物の輪郭保持において競合機を上回る結果が示されています。
特に屋外の十分な光量下では、ディテール再現とダイナミックレンジのバランスが良く、風景や旅行写真では「撮って出し」で満足できる確率が非常に高いです。Samsungのチューニングは彩度を抑えつつ情報量を重視する方向にあり、編集耐性の高い画像を得られる点も評価されています。
| 観点 | 評価内容 | 実使用での印象 |
|---|---|---|
| ズーム性能 | 5倍光学+AI超解像 | 遠景でも文字や輪郭が崩れにくい |
| ナイト静止画 | ISP高速化でノイズ処理改善 | 手持ちでも安定した夜景撮影が可能 |
| 動体撮影 | シャッターラグが残存 | 子どもやペットで失敗しやすい |
一方で問題視され続けているのがシャッターラグです。Samsung MembersやRedditでの長期ユーザー報告によれば、室内や夕方以降の撮影でシャッターボタンを押してから記録されるまでのわずかな遅延が原因となり、被写体ブレが発生しやすい状況が確認されています。
技術的背景としては、2億画素センサー由来の膨大なデータ処理と、ノイズ低減を優先する画像処理アルゴリズムにより、ISO感度を抑える代わりにシャッタースピードが遅くなる傾向が挙げられます。CNETなどの専門レビューでも、この挙動はPixelやiPhoneの高度なゼロシャッターラグ実装と比較して不利だと指摘されています。
総合すると、Galaxy S25 Ultraのカメラはズームと静止画重視のユーザーにとっては極めて強力な武器である一方、一瞬を切り取る用途では依然として注意が必要なカメラと言えます。このギャップこそが、本機の評価を分ける最大のポイントです。
One UI 8.5とGalaxy AIの進化と課題
One UI 8.5は、Galaxy S25 Ultraのハードウェア性能を前提に設計された成熟期のソフトウェアと言えます。特に体感品質の向上に直結しているのが、アニメーションエンジンとバックグラウンド制御の再設計です。アプリ起動や画面遷移ではフレーム落ちがほぼ感じられず、Snapdragon 8 Eliteの高クロック性能を無理なく引き出す制御が徹底されています。
この改善は主観的な印象だけではありません。海外メディアCNETの長期レビューによれば、One UI 8世代以降はUIスレッドの優先度制御が見直され、120Hz表示時の入力遅延が前世代より一貫して低下していると報告されています。ピーク性能を誇示するのではなく、日常操作を安定させる方向性はSamsungらしい進化です。
一方で、One UI 8.5で注目された新機能のひとつが、待機電力削減を目的としたNetwork Battery Saverです。これはユーザーの行動パターンを端末内AIが学習し、就寝中や長時間未使用時にバックグラウンド通信を抑制する仕組みです。初期のOne UI 8.0ではバッテリー悪化の指摘が相次ぎましたが、8.5では実使用での待機消費が改善したという報告が増えています。
| 要素 | One UI 8.0初期 | One UI 8.5 |
|---|---|---|
| 待機時バッテリー | 消費増加の報告あり | 安定・改善傾向 |
| UIアニメーション | 端末差が出やすい | 一貫して滑らか |
| ネットワーク制御 | 従来型 | AIによる動的制御 |
Galaxy AIについては、実用段階に入った機能と、課題が残る機能の差が明確になっています。かこって検索やリアルタイム翻訳は、NPU性能向上の恩恵を受け、処理待ちがほとんど発生しません。特に通話翻訳はレスポンスが改善され、実際のビジネス利用でも支障が出にくい水準に達しています。
その一方で、画像生成や一部の文章生成はクラウド処理に依存しており、通信環境によって体験が左右されます。Geminiとの統合により回答の幅は広がったものの、建物認識や文脈理解で誤りが生じるケースも指摘されています。これはSamsungというより、現行生成AI全体が抱える共通課題と言えるでしょう。
One UI 8.5とGalaxy AIの関係は、性能競争から信頼性重視への転換点にあります。派手な新機能よりも、動作の安定性、バッテリー制御、長期アップデートとの整合性を優先した結果、尖りは減ったものの完成度は確実に高まりました。7年間のOSアップデートを前提とする以上、この堅実さこそがS25 Ultraの価値を下支えしていると言えます。
ディスプレイ品質と角ばったデザインの評価
Galaxy S25 Ultraのディスプレイ品質は、スマートフォンという枠を超えた完成度に達しています。搭載されているSamsung Display製M13世代有機ELパネルは、ピーク輝度2,600nitsという数値が示す通り、直射日光下でも表示が白飛びせず、情報を明瞭に読み取れます。CNETの長期レビューでも、屋外視認性と色再現性の両立は「現行スマートフォンで最高水準」と評価されています。
特に注目すべきは、Corningと共同開発されたGorilla Glass Armorの存在です。反射率を約75%低減する特殊コーティングにより、同じ輝度でも実効コントラストが高く、黒の沈み込みが非常に深く感じられます。スペック表では見えにくい“視覚的な疲れにくさ”が、長時間のブラウジングや動画視聴で明確な差となって現れます。
| 項目 | Galaxy S25 Ultra | 一般的なフラッグシップ |
|---|---|---|
| ピーク輝度 | 2,600nits | 1,800〜2,000nits前後 |
| 反射防止性能 | 約75%低減 | 標準ガラス |
| リフレッシュレート | 1〜120Hz可変 | 1〜120Hz可変 |
一方で、デザイン面では賛否がはっきり分かれます。Galaxy Noteの系譜を引き継ぐ角ばった筐体は、Sペンの内蔵や画面の最大化という機能的合理性を備えていますが、人間工学的には妥協も伴います。YouTubeやRedditの長期使用レポートでは、片手操作時に手のひらへ角が当たり、痛みや疲労を感じるという声が繰り返し指摘されています。
6.9インチという大型ディスプレイと鋭角なフレームの組み合わせは、ケースなしでは長時間の操作が厳しいと感じる人も少なくありません。ただし、その直線的なデザインはビジネス用途やSペン使用時の安定感につながっており、「書く・読む」に重きを置くユーザーにとっては明確なメリットでもあります。
次期モデルで角が丸められるとのリークが有力視されている中、S25 Ultraの造形は、ディスプレイ性能を最優先しつつ機能美を貫いた最後の世代とも言えます。圧倒的な表示品質と引き換えに、持ちやすさをどう評価するかが、このモデルを選ぶ上での重要な判断軸になります。
日本市場での使い勝手と価格動向
日本市場におけるGalaxy S25 Ultraの使い勝手は、グローバルモデルの延長線ではなく、日本固有の通信・決済・購入習慣にどこまで最適化されているかで評価が分かれます。結論から言えば、本機は数少ない「フルスペックのまま日本仕様を完全に満たす」ハイエンド端末です。特に日常利用で差が出やすい通信品質と決済対応は、購入後の満足度を大きく左右します。
通信面では、Snapdragon X80モデムの搭載により、日本の4キャリアすべての主要バンドに対応しています。中でもドコモの5Gで重要視されるn79(4.5GHz帯)を公式にサポートしている点は、海外SIMフリーモデルとの差別化として極めて大きいです。総務省の周波数割当資料でもn79は都市部の容量対策の要とされており、混雑時間帯の安定性を重視するユーザーほど恩恵を実感しやすい仕様です。
決済・生活インフラとの親和性も高水準です。国内モデルはFeliCaを標準搭載しており、モバイルSuicaやQUICPay、iDといった非接触決済をストレスなく利用できます。改札通過時の反応速度や決済成功率は、Samsung公式マニュアルやauの動作検証でも安定性が確認されており、日常の“止まらない体験”を重視する日本ユーザー向けの完成度と言えます。
| 購入チャネル | 価格帯(2026年1月時点) | 特徴 |
|---|---|---|
| キャリア(新品) | 約20万〜25万円 | 保証とサポートが手厚い |
| キャリア返却プログラム | 実質月額2,000〜3,000円前後 | 短期利用で負担が軽い |
| 中古・リユース | 約13万〜16万円 | コストパフォーマンス重視 |
価格動向を見ると、発売当初は20万円超えという強気な設定でしたが、発売から約1年が経過した現在は状況が大きく変わっています。マイナビニュースやDIMEの調査でも、残価設定型プログラムの普及により、「所有する」より「使う」選択肢が現実的になったと指摘されています。一方で、一括購入派にとっても中古市場の価格下落は追い風です。
注目すべきは、価格が下がっても価値が下がりにくい点です。Samsungが公式に約束する7年間のOS・セキュリティアップデートは、日本の中古市場でも評価されやすく、実際に前世代Ultraシリーズと比較しても買取価格は高水準を維持しています。日本市場では“高いが長く使える”端末として、S25 Ultraは現実的な選択肢に成熟したと言えるでしょう。
Galaxy S26 Ultraを待つべきかの判断材料
Galaxy S26 Ultraを待つべきかどうかを判断するうえで重要なのは、「S25 Ultraがすでに完成形に近い端末である」という事実をどう評価するかです。Snapdragon 8 Elite for Galaxyは、Geekbench 6のマルチコアで9,500点台後半を記録し、AppleのA18 Proを上回る結果を示しました。少なくとも処理性能という一点において、日常利用や数年先を見据えても不足を感じる可能性は極めて低いといえます。
一方で、S26 Ultraを待つ価値があるとされる理由も明確です。リーク情報では、標準RAMが16GBに引き上げられる可能性や、充電速度の60W化、角の取れたデザインへの変更が挙げられています。特にRAM容量は、Galaxy AIやローカルAI推論の拡張を見据えると、将来的な余裕につながる要素です。QualcommやSamsungがAI処理をオンデバイスに集約する方向性を示していることを考えると、この点を重視するユーザーは待つ判断も合理的です。
| 判断軸 | S25 Ultra | S26 Ultra(予測) |
|---|---|---|
| 処理性能 | 現行最高水準で完成度が高い | 漸進的な向上にとどまる可能性 |
| メモリ容量 | 12GBが中心 | 16GB標準化の可能性 |
| 使い勝手 | 角ばった形状で好みが分かれる | 丸みを帯び持ちやすさ改善 |
価格面も判断材料になります。発売から1年が経過したS25 Ultraは、中古市場やキャリア施策により実勢価格が大きく下がっています。長期レビューを行っているCNETやGSMArenaによれば、ソフトウェアはOne UI 8.5で成熟し、初期不具合も解消されつつあります。完成度の高い端末を割安で手に入れたい人にとって、今は最も“おいしい”タイミングです。
逆に、最新技術をフルプライスでも最速で体験したい人や、現行モデルの角ばったデザインや45W充電に明確な不満がある人は、S26 Ultraを待つ意味があります。性能の伸び幅自体は限定的と見られていますが、細かな使い勝手の改善が積み重なることで、満足度が変わる層も確実に存在します。
最終的には、「今の完成度と価格を取るか」「将来の余白と小さな進化を取るか」の選択です。S25 Ultraは妥協の選択肢ではなく、すでに最前線に立つ端末である点を理解したうえで判断することが重要です。
参考文献
- PhoneArena:Galaxy S25 Ultra New Cooling System Tested
- Qualcomm:Qualcomm and Samsung Redefine Premium Performance
- Geekbench Browser:Samsung Galaxy S25 Ultra Benchmark Results
- GSMArena:Samsung Galaxy S25 Ultra vs Galaxy S24 Ultra camera shootout
- SamMobile:One UI 8.5 may offer longer battery life
- CNET:Galaxy S25 Ultra Review: Greatest Phone Screen Ever
