iPhoneとAndroid間のメッセージは、なぜ写真が荒く、既読も分からず、不便だと感じてきたのでしょうか。

その長年の違和感に、大きな転機が訪れました。AppleがiOS 18でRCSに正式対応したことで、モバイルメッセージングの常識が塗り替えられようとしています。

RCS対応により、高画質な写真や動画の送受信、既読確認、入力中表示といった機能が、OSの垣根を越えて使えるようになります。これは単なる新機能ではなく、SMS時代の終焉と、次世代コミュニケーションへの移行を意味します。

一方で、日本では+メッセージの存在やキャリアごとの料金体系、セキュリティ面の課題など、知っておくべき注意点も少なくありません。

本記事では、iPhoneのRCS対応で何が変わるのか、技術的な背景から日本市場への影響、ユーザーが取るべき行動までを整理します。ガジェットや通信の最新動向を押さえたい方にとって、必ず役立つ内容をお届けします。

なぜ今RCSなのか?SMSとiMessageが抱えていた限界

なぜ今RCSなのかを理解するには、まずSMSとiMessageが抱えてきた構造的な限界を直視する必要があります。SMSは1990年代に設計された仕組みであり、当時は「短い文字を確実に送れる」こと自体が価値でした。しかしスマートフォンが高解像度カメラや常時接続を前提とする現在、その仕様は明らかに時代遅れになっています。

SMSやMMSでは、文字数制限や厳しいファイルサイズ制限が存在し、画像や動画はキャリアのゲートウェイで強制的に圧縮されます。総務省やGSMAが整理してきた技術資料によれば、MMSの上限は数百KBから数MB程度に留まり、4K動画や高精細写真を日常的に扱う現代の利用実態とは乖離しています。結果として「送れはするが、使いたくない」通信手段になってしまったのです。

項目 SMS / MMS RCS
通信方式 回線交換に近い仕組み IPベース
メディア品質 強制圧縮 高画質を維持
既読・入力中表示 非対応 標準対応

一方、iMessageは技術的には非常に完成度の高いサービスでした。Appleの公式セキュリティ白書でも示されている通り、エンドツーエンド暗号化や高品質なメディア共有、安定したグループチャット体験を早期から実現しています。ただし、その強みは同時に弱点でもありました。iMessageはApple製デバイス間でしか機能せず、Androidユーザーとのやり取りは自動的にSMSへと格下げされてしまいます。

この結果として生まれたのが、いわゆる「グリーンの吹き出し問題」です。異なるOS間で体験の質が大きく分断され、家族や仕事のグループチャットでは、最も制約の大きいSMS基準に全員が引きずられる状況が続いてきました。米国の調査機関Pew Research Centerの分析でも、若年層を中心にこの体験差がコミュニケーションのストレス要因になっていると指摘されています。

RCSが今求められている最大の理由は、「電話番号」という共通IDを維持したまま、この分断を解消できる点にあります。OTTアプリのように新しいアカウントを作る必要がなく、キャリア標準としてリッチな体験を提供できるため、SMSの後継として極めて現実的な選択肢となりました。

さらに、EUのデジタル市場法による相互運用性への要求や、GSMAによるUniversal Profileの成熟が重なったことで、AppleにとってもRCSを採用しない理由が薄れてきました。SMSの限界と、iMessageの閉鎖性という二つの行き止まりを打破する解として、今このタイミングでRCSが表舞台に立ったのは、技術と市場環境の必然と言えるでしょう。

RCSの仕組みを理解する:Universal Profileと技術的特徴

RCSの仕組みを理解する:Universal Profileと技術的特徴 のイメージ

RCSの仕組みを理解するうえで最重要となるのが、GSMAが策定したUniversal Profileの存在です。RCSは当初、各国キャリアやベンダーごとに実装が分かれ、同じRCS対応端末でも機能が噛み合わない状況が続いていました。この断片化を解消するために導入されたのがUniversal Profileであり、現在のRCS体験の土台を形作っています。

Universal Profileは、RCSを「世界共通で使えるキャリア標準」に引き上げるための設計図とも言えます。AppleがiOS 18で採用したのはUniversal Profile 2.4以降に準拠した仕様で、これによりiPhoneとAndroid、さらには国境やキャリアを超えた相互運用性が初めて現実的なものになりました。GSMAによれば、この統一仕様がなければRCSはLINEやWhatsAppの代替にはなり得なかったとされています。

技術的に見ると、RCSはSMSとは根本的に異なります。SMSが回線交換網の名残を引きずった仕組みであるのに対し、RCSはIMSを基盤としたIP通信です。そのため「1通ずつ送る」という概念から脱却し、チャットセッションを維持しながら状態を同期できます。入力中表示や既読通知が自然に実装できるのは、このセッション管理が前提にあるからです。

技術要素 SMS/MMS RCS(Universal Profile)
通信方式 回線交換寄り IPベース(IMS)
メディア転送 厳しい容量制限 HTTP/HTTPSで大容量対応
状態管理 不可 既読・入力中を共有

Universal Profileが定義するもう一つの重要点が、端末同士のCapabilitiesネゴシエーションです。送信前に「相手がどこまで対応しているか」を自動的に確認し、双方で可能な最高水準の機能を選択します。AppleとGoogleの公式資料でも、この仕組みにより異なるOS間でも画質や体験が大きく劣化しないことが強調されています。

具体例として分かりやすいのが画像送信です。従来のMMSではキャリア網で再圧縮され、細部が潰れることが常態化していました。一方RCSでは、画像は一度サーバーにアップロードされ、URLを介して取得されます。その結果、数十MB規模の写真でも元解像度に近い品質を保てます。これはGSMAが公開する技術仕様でも、MMSとの決定的な差として位置付けられています。

なお、iOSにおいては吹き出しの色が緑のまま維持されていますが、これは技術的制約ではありません。Apple自身が説明している通り、iMessageとの体験的な階層を示すためのUI上の判断です。見た目は同じでも、中身はSMS時代とは別物であり、Universal Profileに基づくRCSが裏側で動いています。

このようにRCSの仕組みは、単なる機能追加ではなく、通信プロトコル、ファイル転送、状態同期を包括的に再設計したものです。Universal Profileはその共通言語として機能し、Appleの参加によって初めてグローバル規模で意味を持つ段階に到達しました。

iOS 18におけるRCS実装のポイントとグリーンバブル問題

iOS 18におけるRCS実装で最も象徴的なのは、長年議論されてきたグリーンバブル問題が「解消」ではなく「再定義」された点です。AppleはGSMAのUniversal Profileに準拠したRCSを正式採用しましたが、iMessageのブルーバブルとRCS/SMSのグリーンバブルという色分けは意図的に維持しました。これは技術的制約というより、Appleのプロダクト哲学とブランド戦略を反映した判断だと考えられます。

まず理解すべき重要点は、**グリーンバブル=低品質通信ではなくなった**という事実です。従来、iPhoneとAndroid間の通信はSMSやMMSにフォールバックし、画像は数百KBまで強制圧縮、動画は視聴困難な品質に劣化していました。しかしiOS 18のRCSでは、端末同士が対応機能を事前にネゴシエーションし、HTTPベースのファイル転送を用いて高解像度のままメディアを共有します。Impress WatchやITmediaの実機検証でも、Android側で受信した写真の解像度が大幅に改善したことが確認されています。

**見た目は緑のままでも、中身はiMessageに近づいている**という点がiOS 18 RCSの本質です。

Appleが色分けを残した背景について、海外メディアや業界アナリストの間では共通した見方があります。iMessageはApple独自のエンドツーエンド暗号化やデバイス間同期など、依然として最上位体験であり、それを視覚的にも区別する必要があるという考え方です。Apple公式コメントでも、iMessageは「最もセキュアで統合された体験」と位置付けられており、RCSはあくまで異OS間の相互運用性を高める補完的存在とされています。

ユーザー体験の観点では、グリーンバブル問題は次のように質的転換を遂げています。

観点 従来のグリーンバブル iOS 18のRCS
写真・動画 強制圧縮で劣化 高画質のまま共有
既読・入力中表示 非対応 対応
グループ管理 実質不可 追加・退出が可能

一方で注意点もあります。**iOS 18時点のRCSは、iMessageのようなエンドツーエンド暗号化を提供していません**。GSMA Universal Profileの現行仕様では、通信経路はTLSで保護されるものの、キャリアサーバー上で平文処理される可能性が残ります。この点については、IETFで標準化が進むMLSを将来的に採用する方針がAppleとGSMA双方から示されていますが、現時点では過渡期と言えます。

総合すると、iOS 18のRCS実装はグリーンバブル問題を「色の問題」から「体験の問題」へと移行させました。吹き出しの色に象徴されていたOS間の分断は、少なくとも機能面では大幅に緩和されています。ガジェットに敏感なユーザーほど、見た目ではなく通信の中身がどう変わったのかに注目する価値があるでしょう。

SMS・MMS・iMessage・RCSの機能比較

SMS・MMS・iMessage・RCSの機能比較 のイメージ

SMS・MMS・iMessage・RCSは、いずれも同じ「メッセージ送信」に見えて、その設計思想と体験品質は大きく異なります。どの規格が優れているかではなく、何を前提に作られているかを理解すると違いが明確になります。

まずSMSは、1990年代の音声通話網の余白を使う仕組みで、文字数や表現力に強い制約があります。MMSは画像や動画を送れるように拡張されましたが、キャリア網での再圧縮が前提で、高精細コンテンツには向いていません。これらは現在も「届く確実性」を重視したフォールバック手段として使われています。

規格 通信方式 主な特徴
SMS 回線交換系 テキストのみ、ほぼ全端末で利用可能
MMS 回線交換系+ゲートウェイ 画像・動画対応だが容量制限が厳しい
iMessage IPベース Apple端末間で高機能かつ暗号化
RCS IPベース 異OS間でリッチ機能を提供

iMessageはAppleが独自に構築したIPメッセージ基盤で、写真や動画の高画質送信、既読表示、入力中インジケータなどを早期から実現してきました。Appleの公式技術資料によれば、端末間はエンドツーエンド暗号化で保護され、利便性と安全性を両立しています。ただし、この快適さはAppleエコシステム内に限定されます。

そこで位置づけられるのがRCSです。GSMAが策定したUniversal Profileに基づき、電話番号をIDとして異なるOS間でもチャット型体験を成立させることを目的としています。ITmediaやケータイWatchの報道でも触れられている通り、iOS 18での対応により、iPhoneとAndroid間でも高画質メディア共有や既読確認が可能になりました。

一方で、現時点のRCSはiMessageと完全に同等ではありません。特に暗号化は経路暗号化が中心で、AppleとGSMA、IETFが合意を進めるMLS方式の本格導入はこれからです。つまりRCSは、SMSやMMSの限界を解消しつつ、iMessageに近づいていく進化途中の共通規格と捉えるのが実態に即しています。

このように比較すると、SMS・MMSは信頼性、iMessageは完成度、RCSは相互運用性に価値が置かれていることが分かります。用途や相手の環境によって自動的に使い分けられる現在のスマートフォンは、複数規格の長所を重ね合わせた結果だと言えるでしょう。

日本の通信キャリア別RCS対応状況

日本におけるRCS対応状況は、iOS 18での正式サポート開始を契機に、通信キャリアごとの差異がこれまで以上に可視化されるフェーズに入りました。総務省やGSMAが示す標準仕様としてのRCSは共通である一方、実際のユーザー体験はキャリアの実装方針や料金設計に大きく左右されます。特にiPhoneユーザーにとっては、どの回線を使っているかが利便性を分ける重要な要素になっています。

まず、**KDDI(au・UQ mobile・povo)**は、国内で最も積極的にiOS向けRCS対応を進めているキャリアです。公式発表によれば、iOS 18.4以降での本格対応が明示されており、サブブランドやKDDI系MVNOにも順次展開されています。KDDIは法人向けICTサービスでもRCSの有用性を強調しており、KDDIビジネス部門の資料によると、将来的には認証通知や業務連絡への活用も見据えた基盤整備が進められています。**メイン・サブ・MVNOを横断した一貫性**は、他キャリアと比べた際の大きな強みです。

一方、**NTTドコモ(docomo・ahamo・irumo)**は、RCSそのものの基盤は整っているものの、ユーザー体験の分かりにくさが課題として残ります。ドコモは早くから「+メッセージ」というRCSベースのサービスを展開してきましたが、iOS標準のメッセージアプリでRCSを利用する場合、契約プランによってはSMS課金と区別がつきにくいケースがあります。ITmediaやケータイ Watchの解説によれば、データ通信扱いとなるのが原則であるものの、古い料金プランや法人契約では例外が生じる可能性があり、**料金体系の透明性**が今後の普及の鍵を握っています。

**ソフトバンク(SoftBank・Y!mobile・LINEMO)**は、LINEという強力なOTTサービスをグループ内に抱えていることもあり、RCSについては比較的静かな立ち位置を取っています。iOS 18でのRCS対応自体は進んでいますが、ユーザー向けの案内は主にMy SoftBankでの請求明細確認にとどまっています。ソフトバンク公式サポート情報によると、RCS通信はプランごとに通信料の扱いが異なる場合があり、**実際の請求内容を確認する運用が前提**となっている点が特徴です。

キャリア iOS標準RCS対応 ユーザー視点の特徴
KDDI 明確に対応 サブブランド・MVNOまで一貫性が高い
NTTドコモ 対応中 料金体系がやや複雑
ソフトバンク 対応中 請求明細での自己確認が重要
楽天モバイル 対応 独自アプリと標準RCSの併用が可能

**楽天モバイル**は独自路線を歩んできたキャリアですが、iOS 18以降は標準メッセージアプリでのRCS利用が可能となり、状況が変わりました。Rakuten Linkは引き続き独自仕様ですが、楽天モバイル回線自体がRCSプロファイルに対応しているため、Androidユーザーとの高品質なメッセージ交換を標準アプリで行えます。専門メディアの実機検証でも、Rakuten LinkとRCSの併用に問題がないことが確認されており、**選択肢の多さ**が楽天の特徴と言えます。

最後にMVNOですが、mineoやIIJmioなどはMNO側の対応解放に依存するため、どうしてもワンテンポ遅れる傾向があります。ただしKDDIがMVNO向けRCS提供を正式に表明したことで、au回線系MVNOでは環境が急速に整いつつあります。総じて、日本のRCS対応は「対応しているかどうか」から「どのキャリアが最も迷わず使えるか」という比較段階に移行しており、**キャリア選択そのものがメッセージ体験を左右する時代**に入ったと言えるでしょう。

格安SIM(MVNO)ではRCSは使えるのか

格安SIM、いわゆるMVNOでもRCSは使えるのかという点は、多くのガジェット好きが最も気になるポイントです。結論から言うと、MVNOでも条件を満たせばRCSは利用可能ですが、MNOと同じ感覚で必ず使えるわけではありません。

RCSはGSMAが策定した規格である一方、実際の提供可否は回線を管理するMNO側のIMSやキャリア設定に強く依存します。そのため、MVNOは自社判断でRCSを有効化できず、回線元キャリアがMVNO向けにRCSプロファイルを開放しているかが事実上の分岐点になります。

総務省のMVNO政策検討資料でも、音声・SMSなどの付加機能は「卸元のネットワーク機能開放に依存する」と整理されていますが、RCSはまさにその典型例です。

MVNOの回線種別 RCS利用可否の傾向 注意点
au回線系MVNO 利用可能になりつつある iOS 18.4以降とキャリア設定更新が必須
ドコモ回線系MVNO 段階的・限定的 プランや契約形態で非対応の場合あり
ソフトバンク回線系MVNO 提供状況に差がある 公式アナウンスが少なく確認が必要

KDDIは比較的積極的で、au回線を利用するMVNOにもRCSを順次開放しています。実際にJ:COM MOBILEやau系サブブランドでRCSが有効化された事例が確認されており、同じau回線を使うMVNOでも体験差が縮まりつつあります

一方、ドコモ回線やソフトバンク回線のMVNOでは状況がやや複雑です。iOSの標準メッセージアプリにRCS項目が表示されても、通信がSMSにフォールバックするケースがあり、これはキャリア設定が完全に適用されていないことが原因です。ケータイ Watchなどの専門メディアでも、MVNOではキャリア設定アップデートの配信タイミングが遅れがちと指摘されています。

RCSが使えるかどうかは「MVNO名」よりも「どの回線を、どの設定で使っているか」が決定的に重要です。

また、料金面でも注意が必要です。RCS自体はデータ通信扱いですが、MVNOでは通信失敗時にSMSへ自動切り替えされると、従量課金が発生する可能性があります。特に低容量プラン利用者は、設定確認を怠ると想定外の請求につながります。

現時点では、MVNOでのRCS利用は「対応が進行中の過渡期」と言えます。AppleやGSMAの動向だけでなく、回線元キャリアの発表を定期的に確認する姿勢が、格安SIMユーザーにはこれまで以上に求められています。

iPhoneでRCSを使うための設定手順と確認方法

iPhoneでRCSを使うためには、iOSのアップデートだけでなく、いくつかの設定確認が重要です。Appleが公式にRCS対応を表明したのはiOS 18からですが、実際の利用可否はOS、キャリア設定、回線契約の三点が揃って初めて成立します。GSMAやAppleの技術資料、KDDIやImpress Watchの報道によれば、このいずれかが欠けると設定項目自体が表示されないケースがあります。

まず確認すべきはiOSのバージョンです。「設定」から「一般」「情報」を開き、iOS 18以上であることを確認します。特にau系回線では、KDDIの案内でも触れられている通り、iOS 18.4以降が安定動作の目安とされています。OSが条件を満たしていても、キャリア設定が古いままだとRCS用の接続プロファイルが端末に反映されません。

同じ「情報」画面を開いた際に、キャリア設定アップデートのポップアップが表示された場合は、必ず更新してください。これは通信事業者側がRCSを提供するために不可欠な工程で、Apple自身も公式ドキュメントで重要性を強調しています。アップデート後は一度機内モードをオンオフすることで、設定が正しく反映されることがあります。

確認項目 チェック方法 注意点
iOSバージョン 設定 → 一般 → 情報 18以上、可能なら18.4以降
キャリア設定 同上画面で自動表示 未更新だとRCS不可
RCS有効化 設定 → アプリ → メッセージ 項目が無い場合は非対応

次に、「設定」から「アプリ」「メッセージ」へ進み、「RCSメッセージ」のスイッチをオンにします。iOS 18以降では設定階層が変更されているため、従来の場所に見当たらない場合でも慌てる必要はありません。この項目自体が表示されない場合は、利用中のSIMやMVNOがまだRCSに対応していない可能性が高いと考えられます。

設定後の確認方法は非常に直感的です。実際にメッセージアプリを開き、Android端末の相手を選択した際、入力欄に「RCSメッセージ」や「チャット」と表示されていれば、RCSでの通信が確立しています。ITmediaやケータイWatchの実機検証でも、この表示が最も確実な判断材料とされています。

一方で「SMS」や「MMS」と表示される場合は、相手側がRCSをオフにしている、または古い端末を使用しているケースが考えられます。重要なのは、ユーザーが通信方式を選ぶ必要はなく、iPhoneが自動で最適な方式に切り替えている点です。吹き出しの色が緑でも、RCSが使われていれば画像品質や既読情報は大きく改善されています。

最後に注意したいのが送信失敗時の挙動です。デフォルト設定では、RCSが使えない場合にSMSへ自動的に切り替わることがあります。これは利便性の反面、課金リスクを伴います。特に海外ローミング時は高額請求につながる可能性があるため、「SMSとして送信」をオフにする設定も併せて確認しておくと安心です。

料金は本当に無料?課金が発生するケースと注意点

RCSは「無料で使えるメッセージ」と紹介されることが多いですが、厳密には条件付きで無料という理解が正確です。RCS自体に月額料金や送信料は設定されていませんが、通信の仕組み上、利用環境や設定次第で課金が発生するケースがあります。特に日本のキャリア構造では、従来のSMSやMMSとの自動切り替えが思わぬ請求につながることがあります。

基本原則として、RCSはIPベースのデータ通信を利用します。そのため、**Wi-Fi接続中は通信量も料金も発生せず、完全に無料**です。モバイル通信時も、データ定額プランに加入していれば追加料金はかかりません。GSMAやAppleの技術仕様でも、RCSはパケット通信として扱われることが明記されています。

一方で注意したいのが、RCSが利用できない状況で自動的にSMSへ切り替わる挙動です。電波状況が不安定な場所や、相手側がRCS非対応の場合、iPhoneは送信失敗を避けるためSMSで再送信します。このSMS送信が、従量課金の対象になります。

利用状況 通信方式 料金の扱い
Wi-Fi接続中 RCS(データ通信) 無料
国内・定額プラン RCS(モバイル通信) 追加料金なし
RCS失敗時 SMSへ自動切替 1通数円の課金
海外ローミング SMS送信 高額請求の可能性

総務省資料やNTTドコモの公式料金案内によれば、国内SMSは1通3円から30円台、海外ローミングでは1通100円を超えることもあります。**RCSを使っているつもりが、裏でSMS扱いになっていた**というケースは、特に海外渡航時にトラブルになりやすい点です。

また、ドコモ回線では契約プランによって扱いが異なる点も見逃せません。近年のeximoやahamoではRCSはパケット通信として統一されていますが、古いプランや一部法人契約では、iOS標準メッセージ経由の通信がSMS相当として処理される可能性が示唆されています。ITmediaなどの専門メディアも、プラン確認の重要性を繰り返し指摘しています。

不要な課金を防ぐ最も確実な対策は、「SMSとして送信」をオフに設定することです。

この設定を無効にすれば、RCSやiMessageで送信できない場合はエラーで止まり、SMSへの自動切替が行われません。利便性はやや下がりますが、意図しない課金を防ぐという点では非常に有効です。

結論として、RCSは正しく使えばほぼ無料で、SMSよりも経済的です。ただし、**無料になるのはデータ通信として成立している間だけ**という前提を理解し、契約プランと端末設定を把握しておくことが、安心して使い続けるための重要なポイントになります。

セキュリティとプライバシー:RCSは安全なのか

RCSが本格的に普及する中で、多くのユーザーが最も気にしているのが「本当に安全なのか」という点です。結論から言えば、RCSはSMSやMMSと比べれば大幅に安全性が向上していますが、iMessageと同等と考えるのは早計です。**現在のRCSは“過渡期のセキュリティ”にある**と理解するのが現実的です。

まず前提として、RCSはIPベースの通信であり、通信経路はTLSなどによって暗号化されています。これは、平文で送信されていた従来のSMSとは決定的な違いです。GSMAや各国キャリアの公式技術資料によれば、第三者が通信を盗聴する難易度はSMSより格段に高くなっています。ただし、これはあくまで「経路暗号化」であり、**エンドツーエンド暗号化(E2EE)ではありません**。

通信方式 暗号化の範囲 運営側の可視性
SMS 原則なし 内容を閲覧可能
RCS(iOS⇔Android) 経路暗号化のみ サーバー上で処理可能
iMessage E2EE 内容を閲覧不可

問題の核心は、iPhoneとAndroid間のRCS通信では、キャリアや中継サーバーが技術的にメッセージ内容へアクセス可能な余地が残っている点です。AppleやGoogle自身もこの点を否定しておらず、業界団体GSMAの仕様上の制約であることが明言されています。セキュリティ研究者の間では「法的要請があれば内容開示が可能な設計」と評価されており、これはiMessageやSignalとは明確に異なります。

一方で、Android同士のRCSではGoogleがSignalプロトコルをベースに独自実装したE2EEを提供しています。しかしAppleはこれを採用せず、IETFで標準化が進むMLS(Messaging Layer Security)を次世代の解として支持しています。IETFの技術文書によれば、MLSは大規模グループでも安全に鍵管理ができ、特定企業に依存しない点が評価されています。**RCS全体がE2EEに移行する可能性は高いものの、現時点では未実装**です。

プライバシー面でも注意点があります。RCSでは既読情報や入力中ステータスといったメタデータが標準でやり取りされます。これらは利便性を高める一方、通信頻度や行動パターンを推測できる情報でもあります。Appleやキャリア各社は「最小限の保存」と説明していますが、欧州のデジタルプライバシー研究機関の分析では、メタデータは暗号化されていてもプライバシーリスクになり得ると指摘されています。

**現時点のRCSは、日常会話や写真共有には十分安全ですが、認証情報や機密データの送信には向いていません。**

実用的な判断基準としては、クレジットカード番号やパスワード、業務上の機密情報はRCSでは送らず、E2EEが保証されたiMessageやSignal、WhatsAppを使うのが賢明です。逆に、家族や友人との一般的な連絡用途であれば、SMSよりはるかに安全で快適だと言えます。RCSは危険なのではなく、**安全性のレベルを理解した上で使い分けるべき通信手段**なのです。

企業とユーザーをつなぐRCSビジネスメッセージの可能性

RCSビジネスメッセージは、企業とユーザーの関係性を「通知」から「対話」へと進化させる基盤として注目されています。

これまで企業が顧客に情報を届ける手段は、SMSの簡易通知か、専用アプリやLINE公式アカウントへの誘導が主流でした。

しかしRCSでは、電話番号だけを起点に、OS標準のメッセージアプリ上でリッチかつ双方向のコミュニケーションが成立します。

アプリのインストールを前提としない点は、日本市場においても導入障壁を大きく下げる決定的な要素です。

GSMAが策定するRCS Business Messagingでは、画像付きカードやボタン付きメッセージを公式にサポートしています。

たとえば配送通知であれば、従来の「不在連絡が入った」というSMS文面に代わり、再配達依頼や配達日時変更をワンタップで完結できます。

InfobipなどのグローバルCPaaS事業者によれば、RCSはSMSと比較して開封率や操作率が大幅に高い傾向が確認されています。

項目 SMS RCSビジネスメッセージ
表現力 テキスト中心 画像・ボタン・カード対応
ユーザー操作 URLタップや電話発信 ワンタップで即時操作
信頼性 送信元番号のみ表示 企業名・認証バッジ表示

特に重要なのが「正規企業であること」を可視化できる点です。

RBMでは、事前審査を通過した企業のみが正式名称やロゴを表示でき、なりすましSMSが社会問題化する中で、ユーザーの心理的安全性を高めます。

GSMAやAppleが強調しているのも、この認証されたビジネスメッセージという位置づけです。

日本ではLINEの存在感が圧倒的ですが、RCSは競合というより補完的な役割を担う可能性があります。

会員登録や認証コード、予約確認といった即時性と確実性が求められる場面では、アプリ不要で到達率の高いRCSが有効です。

iOS 18でiPhoneがRCSに対応したことで、企業はほぼ全スマートフォンユーザーに単一チャネルでリーチできる環境を手にしました。

参考文献