iPhone 16シリーズは「これまでで最も頑丈」「修理しやすいiPhone」といった評価を受け、買い替えを検討している方の注目を集めています。特に第2世代Ceramic Shieldの採用や内部構造の刷新により、画面割れや修理費用に対する不安がどこまで解消されたのかは、多くのユーザーが知りたいポイントではないでしょうか。

一方で、実際の落下テストではディスプレイが粉砕された事例も報告されており、「割れにくい=割れない」わけではない現実も見えてきています。さらに、日本市場ではAppleCare+、キャリア補償、非正規修理と選択肢が多く、それぞれのコストやリスクを正しく理解しないと、結果的に高くついてしまう可能性もあります。

本記事では、iPhone 16シリーズのディスプレイ耐久性の実態から、正規修理費用の最新相場、AppleCare+やキャリア補償の損益分岐点、そして非正規修理が抱える落とし穴までを網羅的に整理します。ガジェット好きの方が後悔しない判断をするために、知っておくべき情報をわかりやすく解説していきます。

iPhone 16シリーズが示す耐久性と修理性の変化

iPhone 16シリーズは、これまでの「壊れにくさ=我慢して使うもの」というスマートフォンの常識を静かに書き換えつつあります。耐久性そのものを高めながら、壊れた後の直しやすさまで設計思想に組み込んだ点が、過去モデルとの決定的な違いです。

まず耐久性の軸となるのが、第2世代Ceramic Shieldです。Appleの公式説明によれば、初代比で約50%の強度向上を実現し、一般的なスマートフォン用ガラスの約2倍の耐久性を持つとされています。実際、PCMagやGSMArenaなどの検証でも、日常的な落下や圧迫に対する耐性は確実に底上げされています。

ただし「割れない」わけではない点が重要です。Allstate Protection Plansが行った6フィートからの落下テストでは、iPhone 16 Pro Maxのディスプレイが粉砕される結果となりました。これはガラス素材が持つ脆性破壊という物理的限界によるもので、耐久性の進化は「破損までの猶予を延ばす」改善だと理解するのが現実的です。

観点 従来モデル iPhone 16シリーズ
画面素材 Ceramic Shield(初代) 第2世代Ceramic Shield
落下耐性の傾向 条件次第で即破損 耐性向上も破損リスクは残存
設計思想 薄型・高性能優先 耐久性と修理性の両立

もう一つ見逃せないのが、筐体構造と修理性の関係です。iFixitの分解レポートによれば、iPhone 16シリーズは内部構造が大きく刷新され、前面と背面の両側からアクセスできる設計が進んでいます。これにより、破損=本体丸ごと交換という従来の高コスト構造が緩和されました。

修理性の象徴的な評価が、iFixitの修理スコア7点です。前年のiPhone 15が4点だったことを踏まえると、これはAppleにとって異例とも言える変化です。Right to Repairの国際的な潮流を背景に、Apple自身が「直されること」を前提とした設計へ舵を切った結果だと分析されています。

耐久性を高めつつ、壊れても現実的なコストとリスクで復旧できる。この二層構造の進化こそが、iPhone 16シリーズが示した最大のメッセージです。ユーザーはもはや「割れないこと」だけを期待するのではなく、「割れた後にどうなるか」まで含めて端末を評価する段階に入ったと言えるでしょう。

第2世代Ceramic Shieldの強度と限界

第2世代Ceramic Shieldの強度と限界 のイメージ

第2世代Ceramic Shieldは、iPhone 16シリーズの耐久性を語るうえで中心的な存在です。Appleによれば、この素材は初代と比べて約50%の強度向上を達成しており、一般的なスマートフォン用カバーガラスと比較して約2倍の耐久性を持つと説明されています。これは材料科学の観点から見ても大きな進化で、ガラス内部にナノレベルのセラミック結晶を均一に析出させることで、衝撃時のエネルギーを効率よく分散できる構造が採用されています。

重要なのは、ここで語られる「強度」と「硬度」は同義ではない点です。強度は落下などの衝撃に対する割れにくさを示し、硬度は引っかき傷への耐性を意味します。**第2世代Ceramic Shieldは強度の向上に主眼を置いた進化**であり、日常使用における落下リスクを下げる一方で、ガラスという素材特有の脆性破壊の性質を完全に克服したわけではありません。

評価軸 第2世代Ceramic Shield 示唆されるポイント
衝撃耐性 初代比 約50%向上 落下時の割れにくさは確実に改善
引っかき耐性 モース硬度6で微細傷 砂塵との接触で傷は蓄積
極端な落下 6フィートで粉砕例あり 条件次第では破損は不可避

この限界を明確に示したのが、第三者機関による実証実験です。米国のAllstate Protection Plansが実施した落下テストでは、iPhone 16 Pro Maxを約1.8メートルの高さからコンクリートに落とした結果、ディスプレイが粉砕し、フレームにも損傷が確認されました。同社のテストは保険数理の裏付けを目的としており、宣伝色が薄い点で信頼性が高いと評価されています。

**実験室レベルの耐久性向上と、現実世界での破損リスクは必ずしも一致しません。**

YouTubeチャンネルJerryRigEverythingによるモース硬度テストでも、iPhone 16の画面はレベル6で細かな傷が入り、レベル7で深い溝が生じました。これは石英を含む砂埃とポケット内で擦れるだけでも、微細なスクラッチが避けられないことを意味します。こうした傷は一見目立たなくても、将来的な落下時に応力集中の起点となり、破損確率を高める要因になります。

結論として、第2世代Ceramic Shieldは「割れないガラス」ではなく、「割れるまでの猶予を伸ばしたガラス」と捉えるのが現実的です。材料工学の進歩によって日常的な安心感は確実に向上しましたが、コンクリートや石畳への落下といった厳しい条件下では限界が存在します。この現実を理解したうえで使い方を考えることが、iPhone 16シリーズと長く付き合うための前提条件になります。

落下テストと実証データが語る現実

第2世代Ceramic Shieldの進化はAppleの公式発表でも強調されていますが、落下テストという現実的な条件下では、その限界が数値として明確に示されています。実験室での強度試験と、日常利用に近い環境での落下試験は結果が大きく異なります。

米国の大手デバイス保険会社であるAllstate Protection Plansによる検証では、iPhone 16 Pro Maxを約1.8メートルの高さからコンクリート路面へ落下させたところ、前面ディスプレイは全面的に破損し、チタニウムフレームにも視認可能な変形が確認されました。「50%強化」という数値が、必ずしも日常落下に耐えることを意味しない点は重要です。

テスト条件 結果 示唆されるポイント
高さ約1.8m・コンクリート 画面粉砕、フレーム損傷 実使用環境では強化ガラスでも破損
モース硬度テスト レベル6で傷、7で深い溝 従来ガラスと同等の耐擦傷性

YouTubeチャンネル「JerryRigEverything」が実施したモース硬度試験でも、iPhone 16の画面はレベル6で微細なスクラッチが発生し、レベル7で明確な溝が刻まれました。これは砂や埃に含まれる石英粒子との接触だけで、日常的に傷が蓄積することを意味します。

これらの微細な傷は即座に致命的な破損を招くわけではありませんが、ガラス表面の応力集中点として機能し、将来的な落下時に破損確率を高める要因になります。材料工学の観点では、これは脆性材料に共通する現象であり、Appleが採用する結晶化ガラス技術でも完全には回避できません。

また、Proモデルに採用されたチタニウムフレームも耐久性に一長一短があります。チタニウムは高剛性ゆえにフレーム自体が変形しにくく、落下時の衝撃エネルギーが逃げ場を失い、結果としてディスプレイガラスに集中しやすいと指摘されています。Allstateのテスト結果は、大型かつ重量のあるPro Maxほど破損リスクが高まる可能性を裏付けるものです。

PCMagやGSMArenaなど複数の専門メディアも、iPhone 16シリーズの耐久性を「過去モデルより向上しているが、ケースなし運用を正当化するほどではない」と評価しています。落下テストが語る現実は、進化したガラスでも物理法則から逃れられないという一点に集約されます。

つまり、iPhone 16シリーズは確かに割れにくくはなっていますが、それは「割れない」のではなく「割れるまでの猶予が延びた」に過ぎません。実証データは、耐久性向上への過信こそが、最も高くつくリスクであることを静かに示しています。

筐体素材の違いが画面破損に与える影響

筐体素材の違いが画面破損に与える影響 のイメージ

スマートフォンの画面破損は、ディスプレイ単体の強度だけでなく、筐体素材との相互作用によって発生確率が大きく左右されます。iPhone 16シリーズでは、アルミニウム筐体を採用する無印・Plusと、チタニウム筐体を採用するPro系で、この挙動に明確な違いが見られます。

材料工学の観点では、落下時の衝撃エネルギーは「質量」「剛性」「変形量」の組み合わせで分散されます。アルミニウムは比較的しなやかに塑性変形しやすく、フレームがわずかに歪むことでエネルギーを逃がします。一方、チタニウムは非常に高い剛性と強度を持ち、フレーム自体が変形しにくい素材です。**この違いが、最終的にガラス面へ集中する応力の大きさを左右します。**

筐体素材 機械的特性 画面破損への影響傾向
アルミニウム 軽量・中程度の剛性・変形しやすい 衝撃を分散しやすく、割れの起点が生じにくい
チタニウム 高剛性・高強度・変形しにくい 衝撃がガラスに集中し、破損リスクが増大

この理論は実証データとも整合します。米国のAllstate Protection Plansが行った落下テストでは、iPhone 16 Pro Maxを約1.8メートルの高さからコンクリートに落とした際、ディスプレイが粉砕し、チタニウムフレームにも明確な損傷が確認されました。大型化による質量増加に加え、剛性の高いフレームが衝撃を受け止めきれず、結果としてガラスが破壊された可能性が指摘されています。

また、YouTubeチャンネルJerryRigEverythingの耐傷テストでは、iPhone 16の画面はモース硬度6で微細な傷、7で深い溝が生じました。これは素材としてのガラス特性はモデル間で大きく変わらないことを示しています。**つまり、同じCeramic Shieldを使っていても、筐体素材の違いによって「割れやすさの体感」は変化する**ということです。

剛性が高い=必ずしも画面に優しいわけではありません。フレームが耐えた衝撃は、行き場を失いガラスへ集中します。

Apple自身も、公式には明言しないものの、モデルごとの重量バランスやフレーム設計でリスクを制御しようとしています。Appleの材料設計に関する公開資料や、iFixitの分解分析によれば、内部での応力伝達経路は年々最適化されていますが、物理法則そのものを無効化することはできません。

結果として、落下耐性だけに注目するなら、軽量でエネルギーを逃がしやすいアルミニウム筐体の方が、画面破損リスクは相対的に低くなる傾向があります。一方で、チタニウム筐体は高級感と耐久性をフレーム側で確保する代償として、ディスプレイにはより厳しい条件を課していると理解するのが現実的です。

筐体素材はスペック表では見落とされがちですが、**画面割れという実害に直結する重要なファクター**です。素材の違いを理解することは、ケース選びや保証加入の判断精度を高めるうえでも欠かせません。

内部構造刷新による修理しやすさの向上

iPhone 16シリーズで最も評価すべき変化の一つが、内部構造の刷新によって修理しやすさが大幅に向上した点です。これまでのiPhoneは薄型化と剛性を優先するあまり、修理時には端末全体を分解せざるを得ない構造が常態化していました。しかしiPhone 16では、その前提が明確に覆されています。

最大の転換点は「Dual Entry(デュアルエントリー)」設計の事実上の標準化です。前面ディスプレイ側だけでなく、背面ガラス側からも内部へアクセスできる構造となり、破損箇所に応じて最短距離で修理できるようになりました。iFixitの分解レポートによれば、少なくともiPhone 16および16 Plusでは背面ガラス単体の交換が可能で、フレームやロジックボードを巻き込まない設計が確認されています。

この構造変更がもたらす恩恵は、単なる作業性の向上にとどまりません。修理工程が簡素化されることで、作業時間の短縮、人的ミスの減少、結果として修理コストの抑制につながっています。Appleが公式に背面ガラス修理費用を2万円台まで引き下げた背景には、この内部アーキテクチャの再設計が強く関係しています。

項目 従来設計(iPhone 13以前) iPhone 16シリーズ
内部アクセス 前面のみ 前面・背面の両側
背面ガラス修理 筐体一体交換 背面単体交換
修理難易度 非常に高い 大幅に低下

さらに注目すべきなのが、iPhone 16および16 Plusに採用された電気剥離性接着剤によるバッテリー固定方式です。低電圧を流すことで接着力が化学的に失われ、バッテリーを安全かつ容易に取り外せるこの仕組みは、修理現場で頻発していたバッテリー損傷や発火リスクを大きく低減します。修理技術者の安全性向上という観点でも、極めて意義のある進化です。

こうした一連の設計変更を受け、世界最大級の修理コミュニティであるiFixitは、iPhone 16シリーズに10点満点中7点という高い修理性スコアを付与しました。前年モデルの4点からの飛躍は、Appleが修理性を設計思想の中心に据え始めたことを示唆しています。欧州を中心とした「修理する権利」運動や環境負荷低減の要請が、ついにプロダクトレベルで結実した形だと言えるでしょう。

内部構造の刷新は、ユーザーの目には見えにくいものの、長期的な所有コストや安心感を大きく左右する要素です。iPhone 16シリーズは、壊れにくさだけでなく、壊れた後の現実的な向き合い方までを設計に織り込んだ、成熟したフェーズに入ったことを強く印象付けています。

Apple正規修理における画面・背面修理費用の実態

Apple正規修理における画面・背面修理費用は、iPhone 16シリーズで明確な二極化が進んでいます。画面修理は依然として高額水準を維持する一方、背面ガラス修理は構造改革によって大幅に現実的な価格帯へと移行しました。この差を正しく理解することが、修理戦略を誤らないための前提条件になります。

まず画面修理ですが、日本国内のApple Storeおよび正規サービスプロバイダにおける保証対象外の費用は、最新のOLEDパネル価格と円安の影響を強く受けています。Appleの公式修理価格を参照すると、Pro Maxでは6万円を超え、最も安価な無印モデルでも4万円台後半に達しています。これは米国の修理保険会社Allstateが指摘するように、高輝度・高リフレッシュレート化したOLEDが「最も高価で交換頻度の高い消耗部品」になっている現実を反映しています。

修理内容 対象モデル例 正規修理費用(税込)
画面修理 iPhone 16 Pro Max 60,400円
画面修理 iPhone 16 42,800円
背面ガラス修理 iPhone 16 Pro Max 29,800円
背面ガラス修理 iPhone 16 25,900円

注目すべきは背面ガラス修理です。iFixitの分解レポートでも評価された「Dual Entry」設計の普及により、背面のみを独立して交換できるようになりました。かつては筐体一式交換となり8万円以上が当たり前だった背面割れが、現在では2万5,000円〜3万円前後にまで低下しています。これはAppleの修理エコノミクスにおける構造的転換点と言えます。

一方で注意すべきなのが、画面と背面を同時に損傷した場合です。このケースは「その他の損傷」に分類され、本体交換扱いになる可能性が高まります。Apple公式資料によれば、Pro Maxでは12万円を超える費用が発生し、端末の市場価値を大きく上回ります。ここでAppleCare+加入者は一律の低額負担で済むため、未加入者とのコスト差は一気に10倍規模に拡大します。

Appleが公開している修理方針や、正規プロバイダ各社の価格体系を総合すると、画面は「最も壊れやすく、最も高くつく部位」、背面は「壊れても致命傷になりにくい部位」へと位置付けが変わったことが読み取れます。デザイン性を優先してケースを使わない選択が、背面に限っては現実的になった一方、画面破損だけは依然として重い経済的リスクを伴う点は変わっていません。

この非対称な価格構造こそが、iPhone 16シリーズの正規修理費用の実態です。耐久性向上という表面的な進化の裏で、Appleは修理しやすい部位とそうでない部位を明確に分け、ユーザーに選択と備えを求めるフェーズへと移行しています。

AppleCare+は加入すべきか?損益分岐点を考える

AppleCare+に加入すべきかどうかを判断するうえで重要なのは、「安心感」ではなく損益分岐点を冷静に見極めることです。iPhone 16シリーズでは修理性が向上した一方、画面修理費用は依然として高額で、保険としてのAppleCare+の価値がより数値で評価しやすくなっています。

まず前提として、AppleCare+ for iPhoneの費用は2年間一括払いでおおよそ3万円台前半から中盤です。これに対し、Apple公式の保証対象外修理費用は、ディスプレイ破損だけで4万〜6万円に達します。Appleが公開している修理料金表や、iFixitの分解調査によれば、OLEDパネルの原価と作業工数は依然として高く、ここが大きく下がる兆しはありません。

想定トラブル 未加入時の自己負担 AppleCare+加入時
画面割れ1回 約4.3万〜6万円 3,700円
背面ガラス割れ1回 約2.6万〜3万円 3,700円
画面+背面同時破損 約7万円前後 3,700円

この比較から見えてくるのは、画面割れが1回でも起きた時点で、AppleCare+はほぼ元が取れるという点です。特にAllstate Protection Plansが実施した落下テストでは、1.8メートルからの落下でディスプレイが粉砕されており、日常使用でも「絶対に割れない」とは言い切れません。

一方で、背面ガラスのみの破損に限れば、iPhone 16シリーズは構造改善により修理費用が大幅に下がっています。このケースでは、2年間まったく画面を割らない自信がある人に限り、未加入の方が経済的になる可能性があります。ただし、これは非常に条件付きの判断です。

さらに見落とされがちなのがバッテリー交換です。Apple公式の仕様では、最大容量が80%未満になった場合、AppleCare+加入者は無償交換の対象になります。Appleのバッテリー劣化基準や過去モデルの傾向を踏まえると、ヘビーユーザーであれば2年以内にこの条件を満たす可能性は十分にあります。この時点で、実質的な損益分岐点はさらに加入側に傾きます。

AppleCare+は「壊れたら得」ではなく、「1回の画面割れで収支が逆転する保険」だと考えると判断しやすい

総合すると、AppleCare+の損益分岐点は非常に浅く、画面破損リスクを1度でも現実的に想定するなら、加入は合理的です。逆に、ケースとフィルムを徹底し、端末を資産として扱える人だけが、未加入という選択肢で得をする構造だと言えます。

ドコモ・au・ソフトバンク・楽天の補償サービス比較

iPhone 16シリーズを日本で使う場合、AppleCare+だけでなくキャリア独自の補償サービスをどう選ぶかが、実質的な維持コストを大きく左右します。ドコモ・au・ソフトバンク・楽天は、いずれもAppleCare+をベースにしつつ、付加価値の方向性が明確に異なります。

単純な修理費の安さだけで判断すると、最適解を見誤る可能性があります。重要なのは、画面割れ時の自己負担、データ復旧、ポイント還元、交換スピードといった“体験価値”の差です。

キャリア 画面修理時の実質負担 主な特徴
ドコモ 上限5,500円 修理範囲が広くデータ復旧が安価
au 3,700円 AppleCare++iCloud+連動
ソフトバンク 実質0円 PayPayポイント全額還元
楽天モバイル 一律負担金 修理より交換重視・即日対応

ドコモのsmartあんしん補償は、AppleCare+より自己負担額はやや高いものの、正規修理に限らず幅広いトラブルをカバーできる点が特徴です。特にデータ復旧サービスが1,100円で利用できる点は、総務省の調査でもバックアップ未実施ユーザーが一定数存在すると指摘されている現状を踏まえると、実用的な価値があります。

auはAppleCare+に忠実な設計で、画面修理3,700円という分かりやすさが強みです。iCloud+がセットになるため、写真や動画を多用するユーザーには合理的です。KDDIの公開資料によれば、端末購入プログラムと組み合わせた際の査定条件緩和も想定されており、長期利用を前提とした補償設計といえます。

ソフトバンクは方向性が最も明確で、修理費をPayPayポイントで全額還元する仕組みにより、実質負担をゼロに近づけています。キャッシュフローを重視するマーケティング戦略としても完成度が高く、モバイル決済を日常的に使うユーザーほど恩恵が大きくなります。

楽天モバイルは修理ではなく交換を前提とした設計です。最短即日発送というスピード感は、端末が生活インフラ化している現代において大きな意味を持ちます。日本経済新聞でも指摘されているように、オンライン完結型サポートへの需要は年々高まっており、その潮流に最も合致した補償といえます。

このように見ると、補償サービスは「安さ」ではなく「使い方との相性」で選ぶべき存在です。修理体験そのものを最適化したいのか、金銭的リスクを極限まで下げたいのか、それとも時間ロスを避けたいのか。その価値観の違いが、キャリア選択の決定打になります。

非正規修理を選ぶ前に知っておくべきリスク

非正規修理は「安い」「早い」「データそのまま」といったメリットが強調されがちですが、iPhone 16シリーズにおいては、これまで以上に慎重な判断が求められます。理由は、ハードウェア設計とソフトウェア制御が高度に統合され、正規ルート以外での修理が機能面・資産価値の両方に深刻な影響を及ぼす可能性が高まっているためです。

まず最大のリスクが、交換部品の品質差です。第三者修理市場では、同じ「画面修理」でも内部で使われるパネルのグレードが大きく異なります。iFixitや修理業界関係者の分析によれば、純正再生品や高品質な有機ELは調達コストが高止まりしており、結果として価格差が正規修理とほとんど無くなっています。一方、価格を抑えた修理では、耐久性や表示品質が劣るパネルが使われるケースも少なくありません。

項目 正規修理 非正規修理
部品品質 Apple純正 複数グレード混在
表示性能 True Tone含め完全対応 一部機能制限の可能性
将来の売却 減額リスク小 大幅減額・不可の恐れ

次に見落とされがちなのが、Apple独自の「部品ペアリング」による機能制限です。Appleの公式技術資料や分解検証で知られるiFixitによれば、iPhone 16ではディスプレイやバッテリーなどの主要部品がロジックボードと紐付けられています。非正規修理で単純に部品を交換すると、設定画面に「不明な部品」という警告が表示され、True Toneの消失や自動輝度調整の不具合が恒常的に残る可能性があります。

さらに重要なのが、リセールバリューへの影響です。日本市場ではiPhoneの中古価値が非常に高く、買取業者も修理履歴を厳しくチェックしています。主要買取店の査定基準によると、非正規修理歴が確認された端末は大幅減額、場合によってはジャンク扱いとなります。修理時に数千円から1万円程度節約できたとしても、売却時に数万円の損失を被る構造になっている点は、総所有コストの観点で無視できません。

加えて、iPhone 16シリーズでは正規修理の修理性自体が大きく改善しています。iFixitが「近年で最も修理しやすいiPhone」と評価したように、背面構造や内部設計の刷新により、正規修理の時間とリスクは以前より低下しました。その結果、非正規修理の優位性だった「価格差」や「手軽さ」は急速に縮小しています。

非正規修理は短期的な支出を抑えられる反面、機能制限・再修理リスク・資産価値の低下という中長期のコストを内包している点を理解することが不可欠です。

ガジェットに詳しいユーザーほど、修理費用だけで判断しがちですが、iPhone 16では「今いくら払うか」よりも「将来いくら失う可能性があるか」を基準に選択する視点が重要になります。その意味で、非正規修理は決して万人向けの選択肢ではなく、明確な自己責任を前提とした判断であることを認識しておく必要があります。

リセールバリューと修理選択の関係性

iPhone 16シリーズを所有する上で見落とされがちですが、修理の選択は将来のリセールバリューに直接影響します。日本市場では中古iPhoneの流通が極めて活発で、端末は「使う道具」であると同時に「資産」として評価されます。そのため、画面破損時にどの修理ルートを選ぶかは、数年後の売却価格を左右する重要な意思決定になります。

特に影響が大きいのが、正規修理と非正規修理の違いです。Apple公式の修理では、純正部品と正規プロセスが維持されるため、買取査定時に修理歴が理由で大幅減額されるケースは限定的です。大手買取事業者の査定基準を見ても、正規修理後の端末は「減額なし」または「軽微な減額」に留まることが一般的とされています。

一方で、非正規修理は短期的な修理費を抑えられても、長期的な価値を損なうリスクが高い選択です。Appleが採用する部品ペアリングの仕組みにより、非純正ディスプレイでは設定画面に「不明な部品」と表示される場合があります。この表示はユーザー体験だけでなく、再販市場では致命的で、専門買取店では大幅減額、場合によってはジャンク扱いになることも珍しくありません。

修理方法 売却時の評価傾向 中長期的な損益
Apple正規修理 減額小、正常品扱い 資産価値を維持しやすい
非正規修理(純正外パーツ) 大幅減額、警告表示あり 売却時に数万円の損失リスク

iFixitによる修理性評価が示す通り、iPhone 16シリーズは過去モデルより修理しやすくなりました。しかし、それは「どこで直しても同じ価値になる」という意味ではありません。修理しやすさの向上は、あくまで正規修理エコシステムを前提とした話であり、再販市場の評価軸は依然として厳格です。

例えば、画面割れをAppleCare+で3,700円で修理した場合、その後の売却価格をほぼ満額で維持できれば、実質的なコストは極めて低くなります。逆に、数千円安い非正規修理を選び、売却時に2万〜3万円の減額を受ければ、トータルでは明確なマイナスになります。

修理費の安さだけで判断せず、「次に手放すときの価値」まで含めて考えることが、iPhone 16を賢く使い切るための現実的な戦略です。特に毎年または数年周期で買い替えるユーザーにとって、修理選択はリセールを守るための投資判断と言えます。

参考文献